eコラム「北斗七星」

  • 2014.10.15
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年10月15日(水)付



『アンパンマン』や『手のひらを太陽に』などで、人々に希望を与え続けたやなせたかしさんが亡くなって1年がたった。やなせさんの著書『明日をひらく言葉』に豪雪地帯の郵便配達の話がある◆2メートル近くの積雪の中を、山頂にたった1軒ある家に配達に行く男性を取材したやなせさん。「やめたいとは思いませんか」と聞くと、「とんでもない。あそこにはジッちゃんとバッちゃん二人で暮らしていて、オレが配達に行くと、もう、大よろこびしてくれる」という話だった◆一人一人に郵便物を届け喜んでもらうのが郵便事業の核心であるように、公明党は地域の一人一人の声を受け止める政治を貫いてきた。党の原点である「大衆とともに」の大衆とは、社会学や政治学でいう大衆とは異なり、具体的に顔が見える一人一人のことである◆左翼政党にとって、大衆は教化、指導するべき対象であり、風頼みの政党や政治家にとっては、いつ引きずり降ろされるか分からない恐怖の集団であろう。現在の政党、政治家の混乱は、真の大衆との接点がつかめないところにあるのではないか◆彼らは、メディアによる世論調査で作り上げられた「顔のない大衆人」(竹内洋『大衆の幻像』)の前に右往左往しているのである。「大衆とともに」の新しさと重要性は増すばかりである。(山)

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