e防衛指針の見直し  新3要件の下、日米安保を強化

  • 2014.10.14
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年10月13日(月)付



日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しが進んでいる。先週公表された中間報告は、最終報告(12月予定)に7月1日の閣議決定を反映させる方針を示した。

閣議決定は他国防衛を目的とする武力行使について、憲法第9条によって許されないことを規定している。

従って、改訂後のガイドラインの下でも現在と同様、自衛隊が日本防衛とは無関係に出動し、他国の戦争に巻き込まれることはない。中間報告は「基本的な前提及び考え方」の中で、「日本の行為は、専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる」と明記している。

閣議決定は、憲法第9条の下で許容される自衛の措置(武力行使)の条件として、新3要件を提示した。新3要件の概要は、日本への武力攻撃でなくても、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が、日本の存立を脅かし国民の権利を根底から覆す明白な危険がある場合、自衛隊の武力行使を認めるという内容。この要件の下では、日本の存立と無関係に、もっぱら他国防衛だけを目的とした集団的自衛権は今後とも行使できない。

新3要件に基づき、来年から新しい安全保障法制が整備される。公明党の山口那津男代表は、ガイドラインの見直しも、この法制整備と整合性をもった形で行われる必要があると訴えている。

現行ガイドライン(1997年策定)にある周辺事態という用語が中間報告から消え、「アジア太平洋及びこれを越えた地域」「日米同盟のグローバルな性質」との記述があるため、日米協力の地理的制約が外され地球規模になったとの見方も一部にある。

しかし、日米安保は96年の共同宣言で既に、日本防衛だけでなく、アジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠とされ、さらに国連平和維持活動(PKO)や人道救援活動では地球的規模で協力することになっている。

この共同宣言を受けて策定された現行ガイドラインは、自衛隊の武力行使を日本防衛に限り、地球規模での日米協力は武力行使以外の国連協力などとしている。この考え方は今回の見直しでも変わることはない。

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