e裁判員の負担軽減 証拠調べのあり方に配慮を

  • 2014.10.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年10月6日(月)付



殺人事件など社会的に重大な犯罪を裁く刑事裁判に、法律の素人である一般国民を参加させる裁判員裁判の制度に関し、裁判員の精神的負担の軽減をどう図るかが問われている。

国民にとって裁判は非日常的経験である。被告人の人生に関わる責任感や、悲惨な事件に向き合う不快感を背負い込むことになる。そうした重圧の中にあっても、裁判に健全な市民感覚を反映してもらえるよう、国は制度をしっかり運用する必要がある。

裁判員裁判に関する福島地裁の先週の判決は、裁判員の精神的な負担軽減の重要性を改めて示した。

裁判員として強盗殺人事件の審理に臨んだ女性が、証拠である遺体の写真を見せられたことなどが原因で急性ストレス障害になった。そのことに対し女性は「意に反した苦役」を強いる裁判員裁判は違憲であると主張し、国に損害賠償を求める訴訟を昨年5月に提起した。

福島地裁は判決で、裁判員裁判について、辞退を認める仕組みがあり、国民の負担も合理的な範囲内であるとして合憲との判断を示し請求を棄却した。しかし、「裁判員を選ぶ手続きや審理を適切に進めれば原告の女性が発症することは避けられた可能性は否定できない」と指摘。裁判員裁判の運用について改善の余地があるとの問題提起を行った。

刑事裁判では無実の罪をつくらないために慎重な証拠調べが行われる。殺人現場や遺体の写真、さらには被害者が通報の際に残した音声などが法廷に提出されることもある。裁判員裁判の基本は、犯罪があったかどうかの事実を確かめることであり、裁判員にとって証拠に接することは避けられない。そのため、証拠調べに関して裁判員への配慮は欠かせない。

最高裁が2012年12月に公表した裁判員裁判の「検証報告書」は、「裁判員にとって著しい刺激を与えるもの」について、公判前にその採否などを慎重に検討するよう裁判官、検察官、弁護士に求めている。実際、審理の現場ではカラー写真を白黒写真やイラストにするなどの工夫も行われている。こうした配慮が広がることを期待したい。

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