eジョブ・カード制度 電子化などで利便性を高めよ

  • 2014.09.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年9月26日(金)付



職業能力などを公的に証明して就職につなげる「ジョブ・カード制度」の見直しを議論する厚生労働省の検討会が24日、初会合を開いた。今年度中に制度推進基本計画の改定案をまとめる予定だ。

ジョブ・カードは、職務経験や職業訓練歴などを記載する書類の総称で、2008年度から導入された。カードはハローワークなどで作成され、それを基に専門的な職業相談支援を受けたり、企業での職業訓練を受講できる。

職業訓練は、職業能力を高める経験が少ない非正規雇用で働く人にとっては、キャリアを磨く機会になる。職業訓練の修了者には訓練内容や評価が記入されたカードが交付され、企業が採用の可否を判断する際に有利に働く。

今年5月末までのカード取得者は111万人を超え、職業訓練の修了者は約72万人に上る。修了者のうち約8割が就職でき、成果を収めている。今後も制度を普及させていく意義は大きい。

ただし、課題がないわけではない。

政府はカードの取得者を2020年までに300万人にまで増やす目標を掲げているが、現段階では達成はおぼつかない。

そもそも、制度の仕組み、利点を知らない求職者や企業が少なくない。制度の広報・啓発活動を強化していく必要がある。

国は、一定の条件を満たせば、職業訓練期間中の給与や研修費用の一部を企業に助成している。企業が制度をもっと利用したいと思えるよう、助成金の拡充を求める声がある。検討してほしい。

ジョブ・カードを企業の応募書類として活用する場合、求職者は他者に知られたくない個人的なキャリア相談の内容を記載した書類も含めて提出しなければならない。抵抗を感じる人もおり、普及への支障となっている。

書類の様式が複雑すぎたり、カードの取得に必要な手続きに時間や手間が掛かるのも難点とされている。

プライバシーに配慮した上で、カードに記載された情報を電子化して編集・活用しやすくするなど、利便性を高める工夫はできないだろうか。様式や取得方法の改善を求めたい。

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