e五輪決定から1年 次世代に遺産残せる計画を

  • 2014.09.03
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年9月3日(水)付



日本中が歓喜に沸いた、2020年五輪・パラリンピックの東京開催決定から8日で1年を迎える。東日本大震災からの復興を何としても成し遂げ、世界中の期待を集める大会の大成功に向け、取り組みを加速させていきたい。

現在、関係者の関心を集めているのは、会場計画の見直しだ。今月1日には、東京都知事らが出席した調整会議で、都が新設する予定だった4施設を、既存施設の活用に切り替える方針が報告された。

過去の五輪でも、多大な費用を投じて新設された競技場が大会後に使用されないことが問題となってきた。既に、建設業界では円安による資材価格高騰に加え、人手不足の深刻化で人件費もアップし、建設コストは予想を上回る金額になりそうだ。これまでの大会を教訓にして計画を見直す東京都などの判断は当然かもしれない。

計画の変更は、来年2月までに国際オリンピック委員会(IOC)に提出する基本計画に反映される。会場の見直しには各競技の国際連盟の承認が必要であり、国内外の関係者が納得できる検討を速やかに進めてもらいたい。

また、IOCが大きな関心を寄せる大学連携協定も成果に結び付けたい。同協定は、五輪に関する講義やボランティア育成などで大会を支援するもの。既に全都道府県にまたがる550超の大学が協定を締結している。

開催地の学校が担当の国を決めて交流を行う一校一国運動は、98年長野冬季五輪以降、五輪に引き継がれている遺産だ。真剣勝負に挑む競技者との交流が地域に与える影響は大きい。協定を一つの軸に、大会の熱気と恩恵を全国に届けていきたい。

毎回、五輪の開催地では前年に準備大会があるため、東京大会の準備期間は、事実上残り5年間だ。前回の東京大会は、日本の戦後復興を世界に示す大会となった。20年大会に期待されるのは、災害からの復興と、成熟した国家にふさわしい五輪の運営だ。

都市基盤の整備や復興加速化、東京や日本が持つ魅力の発信など、課題は多い。限られた時間を最大限に活用し、次世代に掛け替えのない遺産を残せるよう準備作業に尽力していきたい。

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