eウクライナ紛争 停戦へ国際社会が後押しを

  • 2014.08.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年8月28日(木)付



ウクライナ東部で続く紛争がもたらす代償は計り知れない。26日にベラルーシで行われたロシア・プーチン、ウクライナ・ポロシェンコ両大統領による首脳会談を、停戦に向けた足掛かりとしなければならない。

今回の会談で、両首脳が停戦への具体的な取り組みの強化で一致したことで、和平へ向け一定の前進が期待できる可能性が出てきた。今後も協議を継続していくことを確認した意義も大きい。

国連によると、4月中旬以降、この紛争による犠牲者は、市民を含め既に2000人を超す。

7月のマレーシア航空機撃墜事件後、親ロシア派武装勢力が事件に関与したとの見方を強めた米国や欧州連合(EU)は、ロシアへの制裁を強めている。ウクライナ情勢の悪化を懸念する資本の流出などとも相まって、今年のロシア経済はマイナス成長に陥ると見る向きもある。

ウクライナも、ロシア産天然ガスの輸入が全面的に停止された影響は大きく、暖房用のガス需要が高まる冬を前に問題解決を求める声が国内に強い。

今回の会談後、ポロシェンコ氏は、東部地域への武器の不法流入を防ぐため、国境管理の強化に向けた協議の開始でも合意したと明らかにした。また、停戦プランを早期に準備するとも表明している。プーチン氏側は、紛争はウクライナの国内問題であり、ロシアは「停戦の条件を協議する立場にない」として一定の距離を置く姿勢に終始したが、和平に努力する意向は示した。

この日は、2国間の首脳会談に先立ち、ロシアと関税同盟を構成するベラルーシやカザフスタンの両首脳、EUの代表を交えて行われた関係国会合でも、事態の早期収拾が必要だとの認識で一致した。今後は、紛争当事者である親ロシア派武装勢力と、どのように停戦の協議を進めるか検討し、早急に結論を出す必要がある。

今回の紛争は、首脳会談を行った両国だけでなく、米国や欧州も巻き込む国際的な緊張を招いている。国際社会も停戦に向けた機運を高め、ウクライナの国家再建を可能な限り支援していくべきだ。

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