e年金制度の強化

  • 2014.08.25
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年8月23日(土)付



厚生年金の対象拡大さらに



老後の生活を支える年金制度を将来にわたって維持していくため、必要な改善策を進めていかなければならない。

厚生労働省は20日、社会保障審議会の年金部会を開き、年金制度の強化に向けた議論を開始した。短時間労働者の厚生年金への加入拡大や高齢者の就労と年金受給の在り方などを検討し、年内をめどに意見をまとめる方針だ。国民に安心と希望をもたらす議論を期待したい。

6月に公表された年金制度の財政検証では、経済が順調に成長し、女性や高齢者の労働参加が進めば、厚生年金は一定の給付水準を維持できることが確認できた。しかし、基礎年金部分は、年金財政のバランスを保つために年金額の伸びを抑える仕組みによって、給付水準の低下が進むことが判明した。低年金対策の拡充などに取り組むとともに、基礎年金の給付水準を高める制度改正が必要だ。

20日の部会では、厚生年金の対象拡大を早急に進めていくべきだとする意見が相次いだ。労働時間などの要件を満たさないため、企業に勤めながら国民年金に加入している人は少なくない。厚生年金の対象拡大は年金財政の安定だけでなく、こうした人たちの生活保障機能を強化できる。2016年10月からは一定の要件を満たす人が厚生年金の対象に加わるが、さらに拡大していかなければならない。

厚生年金の保険料は事業主との折半になるため、難色を示す企業もあるだろう。だが、従業員の待遇改善は、働く意欲の向上や、より良い人材確保につながるはずだ。今後の対象拡大を視野に入れて、保険料の急激な負担増を緩和する方策や、雇い方に関わらない保険料負担の在り方などの検討も深めてほしい。

一方、働く高齢者を増やし年金制度の"支え手"に回ってもらう仕組みも検討する。保険料の納付期間を延長し、その分、年金を受け取る時期を遅らせると、もらえる年金額が増える上に、年金財政も安定する。年金を受け取る時期は今も60~70歳の間で選べるが、選択の幅を広げる。

ただ、これは高齢者の雇用確保が大前提になる。政府と企業は、高齢者が働きやすい環境整備に全力で取り組んでもらいたい。

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