e解説 危険ドラッグ対策

  • 2014.08.04
  • 情勢/社会
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公明新聞:2014年8月3日(日)付



公明ロボのなっとく!ゼミ
答える人
公明党薬物問題対策プロジェクトチーム座長(参院議員)
谷合 正明さん



大麻や覚せい剤に似た成分を持つ「危険ドラッグ」の乱用が大きな社会問題になっています。政府は7月下旬、脱法ドラッグから「危険ドラッグ」に名称を改め、対策を強化させました。撲滅への課題を探る党薬物問題対策プロジェクトチームの谷合正明座長(参院議員)に話を聞きました。

乱用者による死傷事件などが続いています

男性 乱用者の運転する暴走車にひかれて死傷者が出るなど、危険ドラッグに絡む事件・事故が続いています。

谷合 危険ドラッグは死にもつながる非常に恐ろしい物質です。若者たちが好奇心などから安易に手を出さないよう、注意を喚起していかなければいけません。

公明ロボ ところが「合法」などとうたわれ、さも安全に見せかけて販売されています。


死につながる恐ろしい物質。若者に注意喚起を

谷合 実際は、幻覚や妄想など危険ドラッグがどんな症状を引き起こすのか、売っている本人たちでさえ全く分からないケースが少なくない。

私は先日、現場捜査に当たる関東信越厚生局麻薬取締部と、薬物依存者の回復・社会復帰を支援する民間団体を訪ねました。危険ドラッグについて彼らは、「使用は人体実験にも等しい」「覚せい剤などの常習者も怖くて手が出せない代物」などと強い口調で警鐘を鳴らしていました。
国は撲滅に向けた緊急対策を策定しました

男性 国が規制を強めても、それを逃れる「いたちごっこ」が指摘されていますが。

谷合 公明党のリードにより、今年4月から、薬事法に基づいて「指定薬物」に指定された化学物質を含む危険ドラッグは、製造、販売などに加え、所持や使用も禁止され、罰則の対象になりました。また、2012年4月時点で68種類だった指定薬物数を1379種類(今年7月末)まで拡大。それでも、規制の網を巧妙にくぐり抜ける新種が次々と現れているのです。

ロボ 危険ドラッグの撲滅に向け、国は7月、緊急対策を策定しました。

谷合 これは、(1)警察など関係機関による販売店への一斉立ち入り検査(2)指定薬物への手続きの迅速化―などが柱です。指定薬物に定められる前の危険ドラッグでも無承認医薬品として取り締まることや、指定薬物を含む疑いのある物品の成分検査を販売業者に命じ、結果が出るまで販売を停止させることなども打ち出しています。公明党としても対策を強力に後押ししていきます。


男性 先日の視察で明らかになった課題はありますか。

谷合 麻薬取締部では、押収や買い上げ調査によって集めた危険ドラッグを分析する機器や人員の不足が浮き彫りになりました。昨年10月、これまで警察のみだった指定薬物の捜査権限が麻薬取締官にも広げられましたが、肝心の鑑定に時間がかかり、その結果が出るまで摘発できないことが障害になっています。

また、日本に出回る危険ドラッグの原料のほとんどが外国産であり、国際的な取り締まりを強化することが何よりも大事です。

一方、民間団体では、危険ドラッグが複雑化・多様化し、彼らにとっても"未知"のため、回復プログラムが確立できていないことに頭を悩ませていました。女性向けのリハビリ施設が圧倒的に足りないことも分かりました。

ロボ 多くの若者の声に耳を傾けてきた公明党だからこそ、若者世代にまん延する危険ドラッグ対策の先頭に立ってもらいたいです。

一斉立ち入り検査や指定薬物への手続き迅速化など柱


谷合 危険ドラッグに手を染め、依存に陥る若者には、自己否定感が強い傾向があるといいます。危険ドラッグの問題を彼らが発する"SOSのサイン"として受け止め、全力で取り組みます。

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