e奨学金返済を柔軟に

  • 2014.08.04
  • 情勢/経済

公明新聞:2014年8月2日(土)付



文科省 「所得に応じ返還」導入へ
卒業後の負担を軽減
公明が一貫して提言



文部科学省は、大学生らに向けた奨学金制度について、返還月額を収入に応じて柔軟に設定する「所得連動返還型」を本格的に導入する方針を決めた。2015年度予算の概算要求に実態調査やシステム改修費を盛り込む予定であることを、7月24日の公明党文科部会で説明、今後、17年度新規貸与者からの導入をめざし、詳細な制度設計を行う計画だ。

この所得連動返還型は、奨学金の貸与総額にかかわらず、大学などを卒業後の年収に応じて返還月額を柔軟に設定する仕組み。収入が少ない若い返還者の負担を軽減するとともに、少額でも返済につなげることで未返還金を減らす狙いもある。

現行制度では、年収300万円以下の場合には返還猶予できる。ところが、300万円を超えると、返還月額は固定され、負担が一気に大きくなる上、返還できない場合は、延滞金が掛かる。卒業後に就職できなかったり、就職はしたものの「収入が少ない」などの理由で返還できない若者も多い。滞納者は12年度末時点で約33万4000人、滞納額は約925億円にも上っている。

奨学金返還者数は無利子が約134万人、有利子が約189万人(いずれも12年度末)となっている。日本学生支援機構の調査によると、延滞理由は「家計収入の減少」が全体の77%を占めており、新制度導入への期待は大きい。

ただ、新制度の導入には、個人の所得情報が必要になるため、16年から運用開始予定のマイナンバー制度を活用する。同制度は、国民一人一人に社会保障と税の共通番号を割り当てるもので、所得状況を把握しながら運用する計画だ。

公明党は、所得に応じて返還できる新制度の導入に向け、国会質問や政府への要望などを通じて訴えてきた。今年2月には、中野洋昌党学生局長(衆院議員)が衆院文科委員会の質問で、「海外には所得が高い時にはしっかり返す、所得が下がったら返済額を減らすなど、いろいろなタイプの奨学金返還制度を導入している国がある」と指摘し、日本でも所得連動型の返還制度の導入を求めた。今後、公明党は返還不要の給付型奨学金の拡充も含め、さらなる奨学金制度の充実を図っていく方針だ。

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