eアジアの安定へ連携強化

  • 2014.07.31
  • 情勢/国際

公明新聞:2014年7月31日(木)付



"市民相談"は万国共通の原点
シンガポール訪問 山口代表に聞く



公明党の山口那津男代表は16~19日の日程で、シンガポールを訪問し、リー・シェンロン首相ら要人と会談しました。山口代表に今回のシンガポール訪問の成果について聞きました。

―シンガポールを訪問された目的は。

山口代表 シンガポール政府から「テマセク・プログラム」の対象としてお招きいただいた。同プログラムは、互いに理解を深め、関係発展に協力し合う政治家との交流が目的であり、公明党の議員として初めてご招待いただいた。リー・シェンロン首相や、ゴー・チョクトン名誉上級相(元首相)と会談したほか、国会の副議長や現職閣僚らとも親しく交流でき、また、私の要望に応える形で興味深い施設を視察させてもらうなど、大変、有意義な訪問だった。

―リー首相との会談では、どのような意見交換をされましたか。

山口 一対一で非常に率直な意見交換をした。首相は、特に貿易・経済立国の立場から、TPP(環太平洋連携協定)に強い関心を持っていた。シンガポールは当初からのTPP参加国であり、そこに日本が加わる意義は大きいとして、早期の交渉妥結をめざすべきだと主張された。経済的なメリットだけでなく、政治的、戦略的にも日本の利益につながるはずだと強調されていた。

―それに対して、代表はどう応えましたか。

山口 TPPは米国のアジアへの関与を強めることにつながり、地域の安定に資するという意味では、戦略的にも重要な意義がある。日本の国益を十分に踏まえた上で、早期妥結を図ることが望ましいとの考えを述べた。年内の妥結をめざすべきだという点では、ほぼ一致した。

―そのほかに、どのような話題がありましたか。

山口 首相は、アジアの安定を非常に重視していた。中国、インドの経済発展に伴い、地域のバランスが安定を欠くことになれば、シンガポールは著しい影響を受ける。日本や米国がアジアの安定に積極的に関与することで、地域のバランスが保たれ、各国の繁栄が期待できるという考えを示された。アジアの安定、発展を考えれば、シンガポールはまさに要の位置にあると、私も強く感じた。

―どのような施設を視察されましたか。

山口 国際的な連携の要を担うシンガポールの取り組みを学びたいと思い、その代表例として3カ所視察した。まずは「バイオポリス」。世界の企業や研究機関を結び付け、新しい薬品の開発や生命科学の発展に貢献している施設だ。次に、海賊対策や災害救援で国際連携の拠点となっているチャンギ海軍基地の「インフォメーション・フュージョン・センター(情報統合センター)」。日本からも海上自衛隊員が参加しているが、各国の海軍関係者らが情報を共有しながら、海上交通路の安全確保、災害やテロ対策などで連携、協力し合う取り組みだ。もう一つは、シンガポール港のコンテナ・ターミナル。ここの特徴は、欧州、南米、アフリカ、中東など世界各地とアジアを往来する船舶の中継地で、コンテナを積み替えるハブ(拠点)としての機能を担っているところだ。

―今回の訪問の中で印象的だったことは。

サム国務大臣の"市民相談"の現場を見学する山口代表=同山口 感銘したのは、サム・タン国務大臣(文化・社会・青年担当)の"市民相談"だ。毎週金曜日の夜9時から「ミート・ザ・ピープル」と称する相談の場に一部同席したが、外国で政治家が国民と直接触れ合う場を見せてもらったのは初めてだった。その日は、相談者はTシャツに半ズボンといった庶民的な身なり。サム大臣もポロシャツという飾らない姿だった。インド系住民の女性の相談に、パソコンですぐに書簡を作成するなど、多様な生活相談を丁寧に聞き、解決策を授けて安心感を与えていた。毎回80人ほどが相談に来て、午前1時ぐらいまで続く時もあるという。

―公明党議員の市民相談とも似ていますね。

山口 1965年のシンガポール建国以来、与党の人民行動党の議員がずっと続けているという。シンガポールは多民族国家であり、国として強い指導力が求められるが、こうした取り組みが国民の信頼感につながっているのだと思う。また、国民の悩みや願いを受け止める姿は、万国共通の政治家の原点であり、公明党の立党精神と相通じるとも感じた。

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