e新しい安全保障政策 武力行使の限界を明確化

  • 2014.07.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年7月17日(木)付



他国防衛の集団的自衛権は認めず



新しい安全保障政策はどうなるのか―安全保障に関する今後の法整備の基本方針を定めた1日の閣議決定後、初の国会論戦となった衆参両院の予算委員会集中審議で、政府は新しい安保政策の基本的な考え方を示した。

質問に立った公明党の北側一雄副代表と西田実仁参院幹事長は、閣議決定の大きな柱である「憲法第9条の下で許容される自衛の措置」、すなわち自衛隊による武力行使の限界について政府の見解を求めた。政府は、武力行使がこれまで同様、自国防衛の範囲内に限定され、他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認めていないことを強調した。

現在、武力行使は日本に対する武力攻撃が発生した場合にしか許されていない。1日の閣議決定では、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合にも武力行使を認めた。ただし、「わが国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、わが国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容される」との厳格な制限が付いている。

「自衛の措置」とはいえ、他国に対する武力攻撃を武力行使発動の要件にしたため、閣議決定は「その武力行使は国際法上、集団的自衛権が根拠となる場合がある」との説明を加えた。

一般的に、集団的自衛権は他国防衛の権利として理解され、歴史的には他国への軍事介入の口実にされた事実がある。政府は、他国防衛は憲法第9条が許容する自国防衛を超えるとの理由で「憲法上行使できない」との見解で一貫してきた。そのため、閣議決定が「集団的自衛権が根拠となる場合がある」としたことで、政府が他国防衛を容認したのではないかとの疑念が一部にあった。

これについて横畠裕介内閣法制局長官は、14日の衆院予算委で北側副代表に対し、従来の政府見解は、他国を防衛する「丸ごとの集団的自衛権」の行使を禁じたのであり、閣議決定も同様に「丸ごとの集団的自衛権」の行使を認めていないと強調。政府見解の考え方は変わっていないと述べた。また、安倍晋三首相も他国防衛を否定し、武力行使を目的とした海外派兵は今後ともしないと断言した。

国会論戦で明らかになったことは、平和憲法が許す武力行使の限界は自国防衛までであり、それは閣議決定でも守られたという事実である。「憲法を骨抜きにした」「他国の戦争に巻き込まれる」との批判は全く的外れである。


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