e「解釈改憲」の批判は誤り

  • 2014.07.16
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年7月16日(水)付



首相、防衛相、内閣法制局が明言
他国防衛は目的とせず
平和国家の歩みは変わらぬ
参院予算委



参院予算委員会は15日、安倍晋三首相らが出席して「外交・安全保障政策」に関する集中審議を行い、公明党から西田実仁参院幹事長が質問に立った。西田氏は、1日に閣議決定された安全保障法制整備に関する基本方針に関し、憲法の規範性は一切変えておらず解釈改憲ではないと強調し、横畠裕介内閣法制局長官も「解釈改憲には当たらない」と明言した。

西田氏 「国民守る法制を」

西田氏は、今回の閣議決定について一部の報道で「9条崩す解釈改憲」などとの不安をあおる論調が見られる点に言及し、内閣法制局の見解を求めた。

横畠内閣法制局長官は「今般の閣議決定は(自衛権に関する政府の憲法解釈の基礎となっている)1972年の政府見解の基本論理を維持しており、これまでの憲法第9条をめぐる議論と整合する合理的解釈の範囲内のものであると考えている」と指摘。

その上で、「今般の閣議決定は、憲法改正によらなければできないことを解釈の変更で行うという意味での、いわゆる解釈改憲には当たらない」と明言した。

西田氏は、閣議決定の目的が国民を守ることであると確認した上で、基本方針冒頭の「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持」との文言について政府の見解をただした。

安倍首相は「閣議決定の目的はただ一つであり、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくこと。わが国の平和国家としての歩みは今後も変わることはないし、変えてはならない。引き続き専守防衛に徹し、軍事大国とはならず、非核三原則を堅持する」と強調した。

これに対して西田氏は「専守防衛が維持されるということであれば、自衛隊が持つ個々の兵器についても、性能上もっぱら相手国の国土の破壊的壊滅のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的な兵器を持つことはいかなる場合も許されないということか」と聞いた。

小野寺五典防衛相は「閣議決定によって許容されるのは、あくまでも必要最小限度の自衛の措置としての武力行使のみ。他国防衛自体を目的とするものではない。引き続き憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢であることに変わりはなく、政府としての防衛基本方針はあくまでも専守防衛であり維持していく」と述べた。

さらに、西田氏は、閣議決定に盛り込まれた自衛権発動の新3要件について、14日の衆院予算委員会で横畠内閣法制局長官が、新3要件の第1要件はわが国が武力攻撃を受けた場合と同様の深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな場合と答弁したことに言及。首相に見解を求めた。

安倍首相は「新3要件のなかで武力を行使するということであれば、これは相当高いハードルであることは事実」と述べた。

一方、西田氏は、新3要件の「明白な危険」との文言について、「客観的かつ合理的に疑いなく認められるものであり、そこには政権の恣意的な判断は加わらないと考える」とし、首相の考えを聞いた。

安倍首相は「国民が被る犠牲の重大性、深刻性などから新3要件を満たすかどうかだ。それは(政権の)恣意的な判断ではなく、客観的かつ合理的に疑いなく認められる」と答えた。

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