eインターネット被害 深刻な海外通販トラブル

  • 2014.06.25
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年6月25日(水)付



安心確保へルールの見直し急げ



インターネット(ネット)を巡るトラブルが急増している。先ごろ閣議決定された「消費者白書」は、ネットの利便性の裏に潜む詐欺的行為やトラブルに巻き込まれないよう、83ページにわたり特集を組み警鐘を鳴らした。

白書によると、2013年度に全国の消費生活センターに寄せられた相談のうち、ネットを介した通信販売に関する相談件数は、前年度比で70%増の5万件余りで過去最悪のペースだったという。トラブルで最も多かったのは、「偽物や粗悪品が届いた」で全体の半数を超す。次いで、「サービスの内容が著しく劣っていた」「商品が届かなかった」の順だった。

深刻なのは、海外の事業者が関わる場合だ。例えば、靴やバッグなどの高級ブランド品を安く購入しようと申し込むと、「前払い」で振り込みを要求してくる。指示通り支払うと、送られてくる商品は偽物や粗悪品で、商品が届かないケースもある。相手が海外事業者のため、苦情を伝えようにも連絡が取れず、行政も十分に対応できないことも多いという。

海外事業者とのトラブル相談件数は昨年の2倍以上、09年の9倍以上に急増している。「安く手に入る」という言葉に惑わされず、住所や連絡先などが確かな事業者かどうか、クレジット払いや商品代引き支払いが可能かなど、まずは事業者の質を見極める目を養うことが重要だ。不明な点があれば、家族や知人に相談することも効果的だろう。消費者庁では、海外の悪質事業者のウェブサイト(ホームページ)情報を公表しており、積極的に利用したい。

消費生活相談の中で、「運輸・通信サービス」に関わるものは、年間20万件超と突出して多い。ネット接続回線販売を巡るトラブルでは、訪問や電話で迷惑な勧誘が繰り返されたり、消費者の理解が不十分なまま契約させられるケースで、高齢者が巻き込まれる割合が増加している。

スマートフォン(多機能携帯電話)などの契約時でも、本体価格の割引やキャッシュバックを受けるため、「望んでいないのに映像配信やセキュリティーなどのサービスを一時的に選択させられた」「サービスの解約方法が複雑で分かりにくい」といった不満を持つ消費者が多いという。

政府は、ネット社会の健全な発展と安心して使える情報通信環境の確保に向け、消費者保護ルールを早急に見直すとともに、利用者の活用能力を高める啓発活動にも力を入れてもらいたい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ