e政府憲法解釈の基本

  • 2014.06.23
  • 情勢/社会
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公明新聞:2014年6月22日(日)付



72年見解 無制限の自衛権行使を否定



自公両党の「安全保障法制整備に関する協議会」は、国民の安全を守るための「切れ目のない対応を可能とする国内法制の整備」について議論を続けている。その協議の在り方について安倍晋三首相は「これまでの(政府の)憲法解釈のもとでも可能な立法措置を検討する」と5月15日の記者会見で明言した。

政府の憲法解釈は「昭和47年(1972年)の資料がベース」(横畠内閣法制局長官=5月22日)である。72年政府見解『集団的自衛権と憲法との関係』の考え方(論理構成)を衆院法制局の説明【別表】を参考にしながら紹介する。

72年政府見解は3段落で構成されている。

第1段落で「わが国が国際法上右の集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然」と述べる。その根拠として国連が加盟国に対し集団的自衛権を認めた国連憲章第51条など国際法上の規定を挙げた。また、集団的自衛権を「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化されるという地位」と定義した。

第2段落は、その集団的自衛権の行使について「憲法の容認する自衛の措置の限界をこえるものであって許されない」とする72年以前からの政府解釈を確認し、その理由を示す第3段落につなげている。

第3段落は、三つの文からなる。第1文は憲法が「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない」とし、その根拠として前文の「平和的生存権」、第9条の「戦争放棄」「戦力不保持」、第13条の「国民の幸福追求権の尊重」を挙げた。

それを受け第2文は「しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」と断定。自衛の措置が認められる要件として、(1)外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態(2)国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置(3)(1)の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべき―を示した。(1)と(2)で自衛権は発動され、(3)で行使の在り方が限定される。

この第1文、第2文で示された論理構成が72年政府見解の基本的部分である。

この論理を、集団的自衛権行使の是非という問題に適用した帰結が第3文になる。武力行使が許されるのは「わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られる」ため、「他国に加えられた武力攻撃を阻止する」集団的自衛権の行使は「憲法上許されない」と述べている。

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