e公的年金の財政検証

  • 2014.06.09
  • 情勢/経済
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公明新聞:2014年6月8日(日)付



党年金制度委員長 石田祝稔 衆院議員に聞く
現役収入の5割は確保
経済再生、労働力増加が重要
厚生年金の適用拡大など
制度改善さらに推進



厚生労働省は3日、公的年金財政の長期的な健全性を5年ごとに点検する「財政検証」の結果を公表しました。2009年以来となる今回の検証について、公明党年金制度委員会の石田祝稔委員長(衆院議員)に聞きました。


―検証は、どのような結果となりましたか。

石田祝稔党年金制度委員長 経済が再生して女性や高齢者の労働市場参加が進んだ場合に、現役世代の平均手取り収入と比べた年金支給額の割合(所得代替率)が今後100年間にわたって、04年制度改正で政府が約束した「50%以上」を維持できることが示されました【表参照】。

これにより、経済の成長や女性が働きやすい環境づくりを促進することで、財政の健全性は十分確保できることが確認されました。

―経済再生を前提にして健全だというのは、甘い見通しではありませんか。

石田 まず、当然のことですが、代替率50%以上が示されたからといって、何もしなくていいということでは決してありません。むしろ、検証結果を受けて、実際にその方向へ行くために必要な対策を進めることこそが、私たち政治の側の責務だといえます。

その上で、検証では高成長からマイナス成長まで、八つの幅広いケースが試算されましたが、一つの基本ケースを示した前回と違って、どれかを基準にしているわけではなく、楽観的な数値だけを出しているわけでもありません。また、経済再生ケースにおける実質経済成長率の見通しは1.4~0.4%ですが、これは、それほど無理な数値とはいえません。

―経済再生ケースであっても、基礎年金の代替率が将来的には14年度の7割程度となるため、年金の最低保障機能が失われるとの声もありますが。

石田 04年改正では、基礎年金と報酬比例部分を合わせた代替率が、100年間にわたり50%以上を維持する収支バランスとなるように、年金額を調整するという制度設計がなされました。今回の検証でも、経済再生ケースについては、政府が本来約束する「50%以上」を確保しています。

併せて現在の制度は、物価上昇率などを反映して、年金額そのものは減らない仕組みとなっています。この点をあらためてご理解いただきたいと思います。

その上で、公明党の推進により、低年金者には来年10月から、消費税率10%への引き上げを前提として「年金生活者支援給付金」が支給される予定です。さらに今後も、一層の拡充に取り組んでいきます。

―制度を変える必要はないということですか。

石田 制度自体は変えずに、必要に応じて修正するという形が現実的です。特に今回の検証では、パート労働者の厚生年金適用拡大などの課題について、制度を改正した場合の試算も行われました。まずはこの試算を参考にして、改善策を検討する必要があります。

―他に取り組むべき課題は。

石田 検証では、合計特殊出生率が1.35から1.60に向上すれば、所得代替率も3~5%増えることが判明しました。子どもを産み育てやすい環境の整備は、その意味でも重要です。

公明党は、消費増税分を活用した基礎年金の国庫負担2分の1の恒久化など、年金の安定化に一貫して取り組んできました。今後も与党として、将来にわたり安心できる年金制度構築に全力を挙げてまいります。

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