e薬のネット販売 使用者への安全策を万全に

  • 2014.05.14
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年5月14日(水)付



違法サイト、偽造薬で対応急げ



医師の処方箋なしで買える医薬品(市販薬)のインターネット販売を、一部を除き認める改正薬事法が来月、施行される。

市販薬が入手しやすくなる利便性の向上は重要だ。ネット販売の解禁で、薬局や薬店がない離島やへき地でも市販薬を入手でき、体が不自由な高齢者や障がい者にとっても便利になる。

だが、市販薬といっても服用を誤れば、命を落とすこともある。公明党は、安全性を確保するためのルール作りなど、使用者の健康を守る体制整備を強く訴えてきた。

新しく定められたネット販売のルールでは、事業者に対して(1)薬局・薬店の許可を取得した実店舗での販売(2)営業時間内に薬剤師などの専門家を常駐させ、購入者からの質問・相談に応じる(3)乱用の恐れがある医薬品の販売個数の制限―などを求めている。

販売までの流れは、まず事業者のホームページ(HP)から購入したい薬を選び、薬剤師などの専門家にメールで性別や年齢、症状、副作用歴の有無、持病などを申告。続いて、副作用リスクの高い1類医薬品は、専門家が服用方法や服用後の注意点などを説明し、購入者から「提供された情報を理解した」旨の連絡が届いた段階で商品を発送することになっている。

専門家の関与を強め、薬の安全性に関する情報をきめ細かく伝える工夫が施されたことは評価したい。

ただ、心配なのは薬局・薬店の許可を取得していない違法サイトが広がって、偽造薬を買わされることだ。

新ルールでは、ネット販売を行う薬局の名称などを厚生労働省のHPに掲載することになっている。医薬品をネット販売している諸外国では、販売業者に厳正な認証制度を設けて不正サイトとの差別化を図る取り組みを行っているところもある。信頼できる業者を一目で見分ける方法の一つとしてロゴマークの導入などを考えてもらいたい。

今後、違法薬物の販売業者が出るとの指摘もある。消費者が安心して服用できるよう、偽造薬対策、悪質業者の監視体制の強化も、同時進行で取り組まなければならない。

一方、薬の副作用リスクなどを、もっと消費者に伝えることが必要だ。例えば、いくらルールで事業者側に販売個数の制限をしても、消費者側が店舗を渡り歩いて購入すれば、多量入手も可能である。

ネット販売の利用者が薬の危険性について正しく認識し、判断できるよう消費者教育に力を入れるべきである。

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