eODA大綱の見直し 日本の技術生かす貢献を

  • 2014.05.08
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年5月8日(木)付



民間資金との連携強化も不可欠



日本の政府開発援助(ODA)の長期戦略を定めた「ODA大綱」の見直しに向けた論議が、政府の有識者会議で進んでいる。来月にまとめられる報告書を基に、政府は年内にも新大綱を閣議決定する予定だ。

日本のODAは、「人間の安全保障」などを柱として掲げ、主に開発途上国のインフラ整備や教育支援、福祉の分野に大きく寄与している。東日本大震災の際、多くの国がさまざまな救援を展開し"恩返し"してくれたように、国際社会における日本の信頼を確かなものにしている。

現在の大綱は、2003年に改定されたものだ。10年以上が経過し、経済のグローバル化など国際社会は大きく変わってきている。有識者会議では、時代の変化に応じた途上国支援の在り方を真摯に検討してもらいたい。

例えば、開発をめぐる国際社会の議論は、従来は「貧困撲滅」に比重が置かれていたが、今では「持続可能な開発」や「経済の格差是正」も重要なテーマになっている。

日本のODAは資金面の協力だけでなく、技術分野や人材育成にも定評がある。「気候変動」「母と子の健康」「防災」などの課題では、日本の経験や高い技術力の活用が役立つ。

民間資金など非ODA資金との連携強化も欠かせない。

途上国には、先進国からのODA総額の約2.5倍に達する民間資金が流入している。ODAによる経済インフラの整備で、民間投資が促され、高い経済成長を実現した国もある。民間資金を呼び込む工夫が一段と望まれる。

公的金融の代表格である国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)による経済協力も、所管省庁が異なるためODAとの連携が十分ではない。一体的な取り組みを進める必要がある。

一方、昨年12月に閣議決定された国家安全保障戦略にはODAの戦略的活用が明記されており、議論の対象となっている。

現大綱は「軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」と原則を定め、ODAによる物資を支援国の軍隊に提供することなどを禁じている。この姿勢が、平和を希求する日本への信頼を培ってきたことは間違いない。これまでの原則の重要性を踏まえた上で、途上国の発展のためにどのような活用ができるのか、議論を深めてほしい。

日本のODAが始まって今年で60年。国民の理解を得ながら、国際社会をリードする見直しを期待したい。

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