e消費者被害 目立つ高齢者の件数増加

  • 2014.04.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年4月5日(土)付



政府、事業者一体で対策の強化を



昨年1年間の消費者被害額が、国内総生産(GDP)の約1.2%に当たる6兆円程度、国民1人当たりにすると4.7万円に上ることが、消費者庁のまとめで明らかになった。

全国の15歳以上の男女1万人を対象に今年1、2月に行ったアンケートと、消費者センターに寄せられる苦情相談情報などのデータを基に推計したものだ。国民の13人に1人、約1010万人が何らかの消費者被害に遭い、その平均被害額は約59万円に上った。看過できない規模だ。6月公表予定の消費者白書で最終報告するという。

アンケートによると、「商品の機能・品質やサービスの質が期待よりかなり劣っていた」とする人が最も多く、「表示や広告と実際の内容がかなり違っていた」「思っていたよりかなり髙い金額を請求された」と続いた。同庁は「被害者全員が届けるわけではない。全体像を示すことで参考になれば」と説明する。被害額が1万円未満と答えた人の割合と、実際に届け出た人の割合は懸け離れており、被害が潜在化している可能性がある。

今回は、高齢者の被害推計も行った。それによると、65歳以上の被害件数は91万件で被害額は約8000億円だった。高齢者からの消費生活相談件数は年々増える傾向で、2012年度の相談件数は07年度に比べ3割も増え、高齢者人口の増加以上の伸びを示している。

警察庁の調べでも、昨年の振り込め詐欺などの特殊詐欺全体の認知件数は、前年に比べて約4割増加し、被害総額も約3割アップしている。高齢になるほど、社会的に孤立したり警戒心が低下する人が増える傾向にある。そのためか、高齢者の中には被害に遭ったという自覚がない人も少なくない。65歳以上の約4人に1人が認知症か、その「予備軍」との指摘もある。高齢者を消費者被害から守るには、家族だけでなく地域での取り組みも欠かせない。

国会で審議入りした景品表示法等改正案は、関係省庁が連携し、消費者保護に向けた監視指導体制や事業者に的確な表示を求めるなどの表示管理体制の強化が柱だ。さらに、公共機関や事業所、ボランティアなどが地域ぐるみで、高齢者だけの世帯の見守り体制を構築することも盛り込んでいる。一刻も早い成立と施行が望まれる。

悪質な事業者や詐欺の取り締まりを強化するとともに、消費者・高齢者保護へ一体となった取り組みを急ぎたい。

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