e復興まちづくり加速へ

  • 2014.02.27
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年2月27日(木)付



かさ上げ工事に特例
地権者不明の場合など 承諾なしでも着手可能に



復興加速へさらに前進―。東日本大震災の被災地での宅地造成に向けた土地区画整理事業(市町村施行)について、国土交通省は先月30日、地権者の承諾が得られない土地でも、かさ上げ工事などに早期に着手できる特例的なガイドラインを通知した。公明党が被災自治体の要望を受け止め、後押ししたもので、関係する自治体は岩手、宮城、福島の3県。これまで円滑に進まなかった土地区画整理事業の前倒し実施が見込まれ、被災自治体から高く評価されている。

今回の特例措置は、土地区画整理事業の一環で実施する、かさ上げ工事を念頭に置いている。該当する被災地は、「3.11」の津波被害に加え、地盤沈下しており、土地をかさ上げしなければまちづくりが進まない。しかし、被災自治体は、かさ上げ工事の手前で壁にぶつかっていた。

土地区画整理事業では、かさ上げ工事に着手する前段階として、「仮換地」を指定することになっている。「仮換地」の指定とは、以前の土地における地権者の使用・収益権を暫定的に制限する処分のことで、工事が完了し、「換地処分」(法的手続き)が行われた段階で、「換地」(新しい土地)上に地権者の所有権が正式に移る。これまで国交省は、「仮換地」の指定後にかさ上げ工事に着手することを原則とする一方、「仮換地」の指定前でも地権者に「起工承諾」(工事を行うことへの同意)が得られた箇所から順次、実施できると認めてきた。

ところが、被災地では避難生活などで地権者が全国に散在していたり、相続未登記で地権者の判別が困難な状況に置かれており、「仮換地」の指定に向けた検討・調整や、地権者から「起工承諾」を得ることが難航。このうち、岩手県陸前高田市では、約130ヘクタールのかさ上げ工事を予定しているものの、市街地での土地区画整理事業に関係する地権者は2000人以上。「相続人の調査など想像以上の事務作業に追われ、手続きに時間がかかっている」(市の担当者)というのが現状で、一部地域を除き、全体的なかさ上げ工事にたどり着かなかった。

現状の打開を求める公明党は、かさ上げ工事を促す措置について、遠山清彦、高木美智代の両衆院議員と若松謙維参院議員を中心に、再三、国交省など関係機関へ被災地の実情を踏まえた特例制度の創設を求めていた。

これを受け、国交省は、移転先となる「仮換地」の指定に向けた検討・調整が進まない段階でも、地権者の同意の有無にかかわらず、特例的に速やかに着工できるようにした。



公明の尽力で難題解決


岩手県陸前高田市 戸羽太市長

新しくつくる市街地は市の顔で、経済活動の中心をなすもの。そこで、一日も早く本格的な商売を始めたい、自宅を建て直したいという思いを持つ被災者がいる限り、通常15年くらいかかるといわれている土地区画整理事業を早く終わらせなければならない。

派遣を含む市の職員が全国各地を飛び回って地権者を探しているが、困難を極めている。

しかも全員からすぐに承諾が得られるわけではなく、交渉にかかる精神的な負担は並大抵ではない。

津波で壊滅した市街地をかさ上げして、新しいまちをつくるのは容易ではないと痛感している。政府に、1年近く、かさ上げ工事を早くするための特例措置の一点に絞って求めていたが、実現しなかった。

公明党は、私たちに寄り添い、思いを理解してくれただけでなく、親身になって相談に乗ってくれ、力を尽くしてくれた。公明党が動いてくれたおかげと本当に感謝している。

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