e電力の買い取り制度

  • 2014.02.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月22日(土)付



発電実態ない企業が悪用
事業計画を厳格審査する仕組みに



経済産業省が、再生可能エネルギー(再エネ)の普及を促す「固定価格買い取り制度」(FIT)の一部について見直しに着手した。太陽光発電事業で、発電の認定を受けても、運転を始めようとしない企業の存在が明らかになったためだ。

再エネによる電力は、2012年7月から開始したFITにより、政府が決めた固定価格で地域の電力会社に売電できるようになった。政府が認定した発電設備を設けた企業や家庭が、売電によって一定の利益を得られるようにして、再エネの全国的な導入を後押しするためである。

太陽光発電の場合、12年度に1キロワット時当たり40円(税抜き)で20年間にわたって買い取ってもらえるという売る側の企業に有利な条件設定となった。

ただ、この制度は認定を受けても発電のための準備作業を一定期限内に終了する義務がない。このため、高い買い取り価格の時期に認定だけを受けておき、その後に太陽光発電パネルが技術革新などで値下がりするのを待って、事業化すればより多くの利益を得られる。

経産省が実態を調査したところ、12年度中に認定を受けていたのに発電していない事業は3231件あった。中には、発電のための土地や設備そのものがない事業も存在した。

電力会社が再エネ電力を買い取る費用は、企業や家庭の電気代に再エネ普及の目的で上乗せされている負担金(賦課金)から捻出されている。13年度に要する総費用は、4800億円の見込みだ。制度が悪用されれば、電気代を支払う利用者に被害が及ぶ。

経産省は、悪質な企業の認定を取り消す方針を示した。再エネ市場の育成にまじめに取り組む大多数の企業努力を無駄にしないためには、当然の措置だ。設備認定の適正化は経産省内に設置された有識者会議で議論し、3月末には見直し案がまとまる見通しである。申請計画の実現性をより厳格に審査すべきだ。

FITの運用見直しに当たって、有識者会議で賦課金の減額も検討する方針と伝えられている。賦課金は、電力会社が再エネ活用の経済効果で、自前の発電設備を使わずに済んだ分の費用(回避可能費用)が算出の根拠となっている。再エネの利用が広がれば、賦課金は減額されるべき費用だ。

再エネ普及とのバランスを考え、買い取り制度の厳格化や賦課金の見直しを進めてもらいたい。

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