e地元の意向に沿ってこそ

  • 2014.02.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月15日(土)付



中間貯蔵施設
福島県が再配置案 計画見直しへ国は柔軟対応を



東京電力福島第1原発事故に伴う除染で発生した汚染土などを長期保管する中間貯蔵施設の建設問題が、にわかに動き始めた。

福島県と原発周辺8町村が、建設候補地を第1原発が立地する同県大熊町と双葉町の2町に集約することで合意したもので、12日には佐藤雄平知事が石原伸晃環境相と面会し、現行の政府計画案を見直すよう求めた。

ボールが地元から国へと投げ返され、施設建設をめぐる動向の焦点が再び、国の判断に移った格好だ。苦渋の決断をした福島県と地元8町村の意向を最大限尊重し、政府は柔軟な発想で的確な判断を早期に示してもらいたい。

同施設をめぐっては昨年12月、環境省が大熊、双葉両町に楢葉町を加えた3町を建設候補地とする政府案をまとめ、3町と県に受け入れを要請していた。

しかし、町内の大半が帰還困難区域(年間被ばく線量50ミリシーベルト超)の大熊、双葉両町と異なり、楢葉町はほぼ全域が避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)で、早期帰還が見込める地域。このため楢葉町は反発し、「施設配置の再検討」を求めていた。

こうした中、3町を含む地元8町村長と佐藤知事の協議の場が7日に持たれ、楢葉町を建設候補地から外すことで一致。併せて、楢葉町には1キログラム当たり10万ベクレル以下の低濃度廃棄物を焼却して固形化する「指定廃棄物処理施設」を建設することも確認した。

今回の地元の決定に、石原環境相は「(県と8町村の)総意なので、しっかり受け止める」として、計画の見直しを検討する考えを示している。

ただ、事はそれほど簡単ではない。事実、知事と8町村長は「施設の集約と受け入れは別物」(渡辺利綱・大熊町長)として、受け入れの可否を判断する材料は建設候補地の見直しだけにとどまらないことを示唆している。

この際、政府は、施設の安全性確保や8町村全域にわたる地域振興策、帰還困難者の生活再建策などについても具体像を示し、地元への説明を尽くす必要がある。

とりわけ重要なのは、住民の間に根強くある「施設固定化」への懸念の払拭だ。

政府は「30年以内の県外最終処分」を法制化する方針を表明しているが、どこに最終処分場を設置するのか、メドが立っているわけではない。

不透明な部分を明確にし、国の全責任で対応するという姿勢をもっと強く示さない限り、地元の理解は得られないことを銘記すべきだろう。

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