e保育の利用要件緩和 受け入れ体制を着実に

  • 2014.02.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月11日(火)付



自治体は地域の需要を把握せよ



2015年度から始まる新たな子育て支援制度で、認可保育所の利用要件が緩和され、パートタイムで働く人や求職活動中の人も利用できるようになる。

現在の利用要件は、「昼間に常時労働している」「妊娠や出産」「保護者の疾病、障害」などの原則5項目に限定している。このため、パート労働の人への対応は、自治体の判断に任されており、フルタイムで働く人が優先される傾向にある。

新制度ではパートのほか、夜間の就労、在宅勤務、求職活動、大学や職業訓練校への就学、育児休業中の人も利用が可能になる。大幅な要件緩和を歓迎したい。

要件の緩和に伴い、保育所への入所希望者は増えると思われる。現在は保育サービスの申請をあきらめている人が、利用する可能性が出てくるからだ。受け入れ体制を着実に進めてほしい。

利用要件の緩和に先立ち、政府は消費税率を8%に引き上げる財源を活用して、認可保育所や小規模保育の整備、保育士の確保などを進め、14年度末までに保育所などの受け皿を約20万人分確保する。ぜひ、間に合わせてほしい。

一方、自治体は需要の増加に見合う体制を整備するために、まず潜在的な利用ニーズが、どの程度あるのか調査し、正確に把握してほしい。

先月開かれた政府の「子ども・子育て会議」で、パート労働の人が認可保育所などを利用するための最低限必要な就労時間が「月48~64時間」と決まった。政府の決定を受けて今後、この範囲内で自治体が独自の利用要件の基準を定めていく。

64時間を超す時間を設定している自治体は、少なくとも64時間以下に見直さなければならない。該当する自治体では、希望者が一気に増える場合もある。

受け皿の整備に時間がかかるため、「月48~64時間」の枠外で設定している自治体に対し、政府は最大10年間程度の実施猶予を認める。

しかし、可能な限り一人でも多くの人が保育を利用できる体制を早く構築してもらいたい。

政府は今後、それぞれの保育サービスの利用料や国・地方からの補助額を具体的に決める「公定価格」の議論を詰め、今夏に結論を出す予定である。自治体は、国が示した基準を参考に、地域の実情に応じた事業計画を策定していくことになる。

待機児童が着実に減るかどうか、自治体の取り組みが鍵を握っている。

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