e大都市の国際競争 国の発展にも大きく影響

  • 2014.02.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月8日(土)付



魅力と利便性高め、東京の優位保て



東京都知事選は、あす9日、投開票日を迎える。選挙戦では、激化する大都市の国際競争で東京が生き残るための政策論議を、もっと深めてほしかった。世界人口の半数以上が都市に住み、あらゆる機能の集約化が進む中で、都市の魅力を高めることは、国の発展をも大きく左右するからだ。

都市の実態を主要6分野で評価した「世界の都市総合力ランキング(2013年)」(森記念財団)によると、1位はロンドン、2位がニューヨークである。東京はパリ(3位)に次いで4位だ。

東京が上位にある理由の一つは経済力にある。国別の名目国内総生産(GDP)で日本は現在世界3位だが、都市別でみると東京はロンドン、ニューヨークを上回り世界1位だ。躍進する上海やシンガポールなどアジアの主要都市と比較しても、名目GDPの規模は4倍近い。

世界に誇る東京の経済力を支えるのは優れた都市機能と、新しい価値を生む文化的な多様性にある。

網目状に敷かれた都心の公共交通機関は、人と物の大規模かつ迅速な移動を可能にして経済発展の基盤となった。世界有数の大都市だが、犯罪や事件に巻き込まれる可能性が低い点も評価される一因だ。伝統文化が息づく浅草などの下町と東京スカイツリーが融合した風景は、外国人観光客を引き付けてやまない。

東京の優位性は戦後の高度経済成長期を通じて計画的に都市整備が行われた側面が大きい。急増する高齢者への対応や社会インフラの老朽化対策を怠れば、魅力は半減する。

急速な追い上げをみせる新興国の大都市に負けない競争力を保ち続けるには、日本経済をけん引する中小企業の高い技術力を生かすべきだ。長年かけて培った「ものづくり技術」は、他の都市では簡単にまねできない。中小企業と外資系企業の連携を促進し、アジアの技術拠点をめざしてほしい。

東京の地の利を生かす視点も必要である。東京湾の奥に位置する東京港は、欧米とアジアを結ぶ国際物流港として有名だが、使用料が安い外国港に押され、存在感が低下している。利便性を高め、東京港の良さをアピールする必要がある。

長期的にみれば、東京の課題は各国の大都市にも共通する。いち早く都市の課題と向き合う東京は、世界から問題解決の模範例としての役割も期待されている。2020年の東京五輪をめざし、都市の魅力を高めるべきだ。

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