e活力創造プランに着手

  • 2014.01.22
  • 情勢/経済
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公明新聞:2014年1月22日(水)付



農業所得の倍増めざす
政府目標 農林水産物 輸出1兆円へ
6次産業化や農地集積なども一体で



政府は、今年から「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づく具体策に着手する。農林水産物の需要拡大の観点からは、世界の食市場を視野に入れた取り組みを加速。生産現場の強化策などと一体的に推進し、目標として農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増させることをめざす。

スシ、テンプラ、ヤキトリ......。和食は外国人にとっても格別の味のようだ。日本貿易振興機構(JETRO)が2012年末、海外7カ国の2800人を対象に調査した結果によると、「好きな外国料理」の第1位は日本料理。83・8%が「好き、かつ外食でも食べる」と答え、高い人気があることが分かる。
実際に、世界各国の日本食レストランは増加傾向にあり、06年に約2万4000店だった店舗数は、13年3月で約5万5000店となった。13年末には、「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に正式登録。ブームはさらに強まるとみられる。

しかし、こうした"追い風"を日本の農林水産業に、いかに振り向けるかが課題だ。食材まで日本産が利用されることはまだ少なく、国産農林水産物・食品の輸出増につながっていないからだ。
例えば、日本の輸出額は12年に4497億円だったが、国土が日本と同程度のイタリアは3兆4679億円(11年)を輸出。日本が外国の後塵を拝する状況が続いている。
「活力創造プラン」では、輸出拡大の"秘策"として「FBI戦略」【別掲】の推進を掲げた。20年までに680兆円規模に達すると見込まれる世界の食市場で日本の輸出額を1兆円に倍増させる作戦だ。
同戦略の実現に向けて、14年度予算案には「日本食・食文化の魅力発信と輸出の促進」に約272億円が計上された。水産物や加工食品など8品目を重点品目と定め、食市場の拡大が見込まれる国・地域への輸出を促進。海外の料理学校で日本食講座を開いたり、見本市に出展して日本食の魅力を伝える。
"食"を主なテーマとして来年開催されるミラノ万博や、20年の東京五輪・パラリンピックなど、国内外へ日本食の魅力を発信できるイベントもフルに活用していく方針だ。
生産者の所得を増やすため、農林水産物を生産するだけでなく、加工や流通まで裾野を広げて付加価値を向上させる「6次産業化」も推進する。14年度予算案では約31億円を盛り込み、専門人材の派遣による、きめ細かなアドバイスや経営支援、資本提供などを一体的に行っていく。
一方、生産現場の活性化としては、各都道府県に新設する農地中間管理機構(農地バンク)の活用によって点在する田畑や耕作放棄地を集約し、担い手を育成・確保していく。

農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の拡大など、農林水産業と農山漁村を取り巻く環境の厳しさは長年にわたって指摘されてきた。これに対し、「活力創造プラン」は課題解決に向けた農政改革のグランドデザインとして位置付けられている。

農水省の大臣官房政策課では「今年は『攻めの農林水産業実行元年』。農地中間管理機構の体制整備など、できる施策から前倒しで実施していく」と意気込みを語っている。



現場へ丁寧な説明必要
党農水部会長 石田祝稔 衆院議員



「活力創造プラン」に盛り込まれた輸出の倍増、6次産業化の促進、農地の集積、耕作放棄地の解消などは、公明党が重点政策として訴えてきた内容です。農林水産業活性化に向けた施策として評価できます。
「和食」の世界無形文化遺産登録も、輸出倍増に向けた良い知らせです。一方で、日本食が注目される今だからこそ、海外で散見される、調理や食材がめちゃくちゃな"日本食もどき"への対策をもっと強めるべきです。本来の日本食のイメージが低下するのは大きな損害となりかねません。
政府は現在、「活力創造プラン」を説明するために全国を回っていますが、複雑かつ多岐にわたる内容なので、現場の一人一人が十分理解できるように、より丁寧な説明を求めたいと思います。



FBI戦略(1)日本食材の活用を推進する「フロム(F)ジャパン」(2)日本の食文化・食産業を海外展開する「バイ(B)ジャパン」(3)日本産の農林水産物・食品を輸出する「イン(I)ジャパン」―を一体的に実施する作戦。

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