e改正DV防止法施行

  • 2014.01.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年1月6日(月)付



被害者の命と人権を守れ
自治体や警察は周知・啓発の強化を



今月3日、夫婦や事実婚関係にある男女だけでなく、同居する恋人からの暴力にも保護対象を広げる改正DV(配偶者による暴力)防止法が施行された。保護命令には、被害者や家族への接近禁止や住居からの退去などがある。DV被害者の多くは女性であり、女性の命を守る手段が拡大することは評価したい。

法改正の背景には、2011年に長崎県で起きた事件がある。一時同居していた元交際相手から暴力を受けた女性の親族が殺された惨劇だ。こうした被害を防ぐため、同法は、公明党の推進もあり昨年6月、改正ストーカー規制法とともに成立した。

ストーカー規制法に基づく警告は、加害者からの迷惑メールなどが執拗に繰り返された証拠を被害者が集め、警察に提出する必要がある。しかし、DV防止法の保護命令では、そうした付きまといが始まる前に予防する一定の効果が見込まれる。

また、各地の配偶者暴力相談支援センターに相談し、シェルターでの一時保護やカウンセリングなども受けられる。警察や自治体は、この内容を十分に周知して一人でも多くの人に理解してもらえる工夫をしてほしい。

今回の改正法によって、10、20代を中心に深刻化している恋人からの暴力である「デートDV」も適用の対象になる。11年の内閣府調査では、女性の13.7%が、この年代にデートDVの被害を受けたと答えている。さらに、被害女性の約6割は、その後に心身の不調や異性への恐怖心など健康や生活に影響が出たとも回答している。

多感な時期の犯罪被害の経験は、人生に大きな支障を及ぼす。警察庁は、今年春までに、DVやストーカー被害の相談に応じる「生活安全部門」と、凶悪事件を捜査する「刑事部門」を中心とした専門チームを警察本部に新設する方針だ。深刻化する被害を防ぐ仕組みを一刻も早く立ち上げてもらいたい。

若い男女間でのデートDVは、加害者と被害者の双方に犯罪という認識がない場合が少なくない。しかし、DVは重大な人権侵害であり、間違いなく犯罪である。正しい知識や理解が広まれば、予防が期待できる。丁寧な啓発活動が欠かせない。

残念ながら、警察へのDV被害の相談件数は、毎年のように過去最多を更新している。悲惨な事件を繰り返さないよう、政府や警察は当然だが、社会全体で取り組み、DVの増加に歯止めをかけていきたい。

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