e政府のエネルギー計画 原発依存度確実に下げよ

  • 2013.12.11
  • 情勢/解説

公明新聞:2013年12月11日(水)付



再生エネや省エネ技術の開発急ぎ



経済産業省は先週、中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案をまとめた。

基本計画は3年ごとに見直され、今回は東京電力福島第1原発事故後、初の見直しとなる。同省の審議会や与党内の議論を経て、来年1月に閣議決定される予定だ。

素案では原子力政策の位置付けが注目されている。

素案は原発を「重要なベース電源」とし、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所について再稼働を進める」と明記した。これをもって"原発回帰"の姿勢だと指摘する声もある。

ただし、原子力規制委の規制基準は、既存の原発にも最新の安全対策を義務付ける「バックフィット制度」を導入するなど、国際的にも非常に厳しい。

現在、7原発14基が安全審査を申請中だが、原子力規制委の承認を得られても、再稼働には地元の理解を得ることが必要だ。実際の再稼働のハードルは高い。

太陽光などの再生可能エネルギー(再生エネ)の普及や省エネ技術の開発などを踏まえれば今後、原発依存度は確実に低下する。素案に、原発依存度を「可能な限り低減させる」との考えが示されたのは妥当である。

既存の原発は40年で運転を制限するという原則を堅持し、新増設を認めないことで、可能な限り早期に脱原発依存をめざすべきだ。

気掛かりなのは、素案が原発の新増設に関して具体的に言及しなかったことだ。

昨年9月に政府がまとめた革新的エネルギー・環境戦略には「新設・増設は行わない」と明示されていた。それだけに、素案が「原発を新増設する余地を残したのではないか」と懸念する向きもある。

東電福島第1原発事故では、今も多数の人が避難生活を余儀なくされている。その現実を踏まえれば、原発の新増設に対する国民の理解は到底得られる状況にない。公明党も原発の新増設は認めていない。政府も、その方針を堅持してほしい。

素案は、再生エネについて「有望な国産エネルギー」と位置付けた。「最大限の導入を加速」する姿勢が打ち出されたことを歓迎したい。再生エネは、温室効果ガスの排出削減や雇用の創出効果など利点が多いエネルギーである。

日本の技術は世界でもトップレベルにある。産業政策の面からも政府が支援を強化すれば国際競争でさらに優位に立てる。積極的に取り組みを進めてもらいたい。

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