e緑の贈与制度 再生エネ普及へ創設を

  • 2013.12.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2013年12月6日(金)付



温暖化対策や景気、雇用に効果



太陽光発電など再生可能エネルギー(再生エネ)の普及を促す「緑の贈与制度」が、来年度の税制改正論議の焦点の一つになっている。

この制度には多くの利点があり、公明党は導入を強く主張している。

緑の贈与制度は、高齢者が子や孫のために再生エネ設備を贈与した場合、贈与税を優遇する仕組みだ。

例えば、祖父母が財産として、110万円を超える太陽光パネルやその設置費用を子や孫に贈った場合にかかる贈与税を非課税にする。太陽光パネルの設置が促されるとともに、子や孫が太陽光発電の売電収入を一定期間受け取ることで、結果的に財産が継承される。

一般の家庭が再生エネ設備を導入するには課題が少なくない。

多額の初期投資が必要な上に、利益の回収に長い時間がかかる。住宅ローンや教育費などに支出の一定程度を割かなければいけない現役世代にとっては、設置費用の捻出は容易ではない。

日本国内の個人金融資産は約1500兆円といわれ、その7割前後を高齢者が保有している。高齢者は10年、20年先の買い物はためらいがちだが、子や孫への支出には抵抗感は少ないはずだ。

既に類似の制度として、今年度から孫やひ孫への教育資金贈与を非課税とする特例措置がスタートし、利用実績は好調だ。大いに参考となる。

高齢世代から現役世代への「贈与」を活用する緑の贈与制度は、まさに的を射た政策といえよう。

地球環境戦略研究機関(IGES)の試算によれば、高齢者世帯の約2割が平均400万円を、この制度の利用に振り向けた場合、15年間で約16兆円が再生エネ分野に投資される見込みだ。

その結果、約5000万キロワットの再生エネが生み出され、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)は、約2億9000万トンの排出削減が可能と試算されている。地球温暖化対策に大きく貢献することは間違いない。

経済対策としても非常に有益だ。

緑の贈与制度の導入によって投資や消費が拡大することで、約100万人の雇用が創出されると試算されている。税制優遇に伴う税収減分も、投資拡大による税収アップで一定程度補えるとの指摘もある。

環境対策でも景気対策でも大きな効果のあるこの制度を、導入しない理由は見当たらない。

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