e日本版NSC発足 安全保障政策の司令塔に

  • 2013.12.04
  • 情勢/解説

公明新聞:2013年12月4日(水)付



国内外での情報収集力を高めよ



外交・安全保障政策の司令塔機能を担う国家安全保障会議(日本版NSC)が、きょう発足する。

日本を取り巻く国際情勢が大きく変化する中、日本版NSC設置法の国会審議では、与野党を超えた幅広い合意が形成された。NSCは、平和と安全を求める国民の期待をしっかり担い、確かな役割を果たしてもらいたい。

NSCの中核は、首相、官房長官、外相、防衛相による4大臣会合となる。原則として2週間に1回会合を持ち、外交・安全保障に関する認識を共有。政府が今月中に取りまとめる国家安全保障戦略や新防衛計画大綱を実質的に決めていくとともに、中長期的な外交・安全保障戦略策定に向けた議論が行われる。

NSCが有効に機能するために重要なのは、事務局を担う国家安全保障局の役割だ。同局は、来年1月に外務、防衛、警察の各省庁の官僚や自衛官ら60人程度の体制で始動する。国家安全保障に関する外交・防衛政策の企画立案、総合調整だけでなく、これまで省庁ごとに縦割りで官邸に伝達されていた情報を集約し、報告する役割も担う。

ともすれば、各省庁は、重要な情報を抱え込みがちだが、それでは的確な情勢分析は期待できない。NSCが有効に機能するかどうか。それはひとえに適切に情報が集まるかにかかっていると言っても過言ではない。法律では、各省庁からNSCへの情報提供を義務付けている。ただ、実効性を確保するためには、首相や官房長官らのリーダーシップが求められる。

また、国家安全保障局長室には米英などの安全保障機関とのホットラインを設置し、日常的に情報交換を行うという。外国との情報共有には情報保全体制の確立が大前提だ。その意味で特定秘密保護法案は、今国会で成立させなければならない。

さらに、国家安全保障局とNSC、政府との関係を考える際、インテリジェンスの政治化、すなわち権限を持つ者に都合の良い情報だけを提供する事態に陥らないよう自戒も必要だと付言しておきたい。米国では、政策立案者の意向に沿って情報提供者があらかじめ情報を操作することなどがないよう、NSCスタッフ組織の規模は300人を超え、あらゆる関係分野の専門家を政府内外から集め、チェック機能を働かせている。

NSCには、刻々と変化する国際情勢を的確に分析し、真に国益にかなう判断力と危機対応能力を高めていってもらいたい。

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