e日ロ外相・防衛相会合 信頼築き領土問題進展を

  • 2013.11.06
  • 情勢/国際

公明新聞:2013年11月6日(水)付

 



多様な分野で関係強化を探れ



日本とロシアによる初の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開かれ、両国間の信頼を築くため、アジア太平洋地域の安全保障体制を扱う多国間協議の場での協力を進める方針で一致した。海上自衛隊とロシア海軍との間でテロや海賊対策での共同訓練の実施なども合意された。

今後、安全保障分野においては、サイバー攻撃対策での高官級協議の設置や国連平和維持活動(PKO)をめぐる情報交換も進められる。東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)など国際会議での安全保障や災害救援分野をめぐる議論でも協力していくことが確認されるなど、多くの成果を残した。

北方領土問題については、2プラス2に先んじて行われた外相会談で話し合われ、来年1月末から2月初めに次官級協議を行い、協議を加速させることで一致した。

日本は米国と豪州との間で2プラス2の会合を持っているが、いずれも同盟国関係である。北方領土問題を抱え、平和条約を締結していないロシアとの開催は異例だ。会合終了後の記者会見でロシアのラブロフ外相は、「朝鮮半島情勢や領土紛争などの問題を解決するため、密接に協力することが双方の国益になる」と述べた。

その通りである。今後も定例的に開催されるこの会合で協力関係を構築してほしい。それは安全保障だけでなく、政治、経済、文化関係などを含めた日ロ両国間の関係全体のレベルを高めることになるからだ。

両国の信頼醸成は、さまざまな不安定要素を抱えるアジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与するだろう。

双方の立場に開きはあるが、交渉を進展させようとする互いの政治的意思は確認された。会談を重ねるなかで、問題解決と平和条約締結に向けた確かな流れをつくってもらいたい。

日ロ両国の経済やエネルギー分野での協力の可能性は、ここ数年高まっている。

ロシアは、世界的にシェールガスの開発が進む中、輸出が伸び悩む天然ガスの市場として日本を見据えている。一方、日本も大きな消費市場としてロシアにビジネスチャンスを見いだそうとしている。海氷面積の減少で北極海航路の運行も増えるなど、運輸面での利便性も高まっている。

日ロ関係の安定は、こうした民間参入を進める上で、欠かせない。多様な分野で関係強化を探る必要がある。信頼構築の機運を大切にしていきたい。

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