e日本の役割に期待の声

  • 2013.10.11
  • 情勢/国際
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公明新聞:2013年10月11日(金)付



手記 石川 博崇 党青年委員長(参院議員)
教育、衛生分野など
難民への人道支援さらに
シリア情勢改善へ周辺国調査



公明党の石川博崇青年委員長(参院議員)は1~6日、シリア情勢調査のため同国周辺のヨルダン、イラクを訪れ、避難民への人道支援やシリア情勢改善に日本が果たすべき役割などを調査した。今回の調査について石川氏が手記を寄せた。

受入れ国に大きな負担 冬への備え追い付かず

目下の国際社会最大の関心事であるシリア情勢に関する現地調査のため、山口那津男代表の命を受け1日から6日にかけ、シリア周辺国のヨルダン、イラクを訪問しました。

シリア情勢については、山口代表が9月上旬、訪問先のニューヨークで潘基文国連事務総長と会談した際、シリア難民に対する人道的な支援継続の必要性などで一致。その後、シリア化学兵器廃棄に関する国連安保理決議2118号が全会一致で採択され、平和的解決に向けた機運が高まっています。今回の調査は、こうした背景を踏まえ、周辺国に流出したシリア難民の状況や受け入れ国の課題などを確認し、日本が果たすべき役割を探るのが主な目的でした。

私はかつて、中東地域・アラビア語を専門とする外交官としてシリアに5年、イラク(サマワ)に約1年半滞在・勤務した経験があります。それだけに現在の深刻なシリア情勢に胸を痛めてきましたし、公明党国会議員として、少しでも情勢改善に貢献できるのであれば、これ以上の喜びはないとの思いで現地に赴きました。

現地では、12万人の避難民が生活するヨルダン国内最大のザアタリ・キャンプと、イラク北部クルディスタン地域に開設されたカワルゴスク・キャンプを視察。現地で活動する国連関係者、NGOのほか、避難民からキャンプでの生活やシリア国内の状況について話を聞きました。

また、ダッバース・ヨルダン王宮府政務局長、ハイラッラー・イラク外務次官、バーキル・クルディスタン地域政府外務庁長官などの要人と会談し、シリア情勢の現状と今後の見通しなどについて意見交換。会談では、シリア情勢に関する日本の役割について、一様に期待の声が寄せられました。

シリア政府関係者では、在ヨルダン・シリア大使館次席、ダンダフ在イラク・シリア大使と会談し、日本政府のシリア情勢に対する立場を伝えるとともに、暴力行為の停止と化学兵器廃棄に向けた国際社会の努力に全面的に協力するよう要望しました。シリア情勢の悪化を受け、日本、シリア両国の外交当局、政府間での直接的なやり取りが途絶えている状況下で、今回、日本の国会議員としてシリア政府関係者と会談できたことは、日本外交に幅を持たせる意味でも重要な意義があったと考えます。

一方、難民キャンプなどでは、これまでの日本政府による人道支援の取り組み、特に、先の国連総会で日本が表明した6000万ドルの追加的な拠出に対して、各方面から高い評価の声をいただきました。しかし、日々増加する避難民により、受け入れ国の経済的・社会的な負担が極めて大きいことから、さらなる国際社会の支援が不可欠との訴えが各所で聞かれました。特に、(1)避難民の子どもたちに対する教育環境整備(2)避難してくる妊産婦などの母子保健を含む女性への支援(3)避難民に対する衛生・保健分野での支援―などで日本への期待の声がありました。このほか、キャンプ外の市街地で暮らす避難民への対応、厳寒の冬が近づく中、対策が十分に追い付いていないことなども課題だと感じました。

今後、今回の調査に基づき、日本政府としてさらなる貢献を行うよう働き掛けるとともに、今月召集の臨時国会での論戦などを通して、日本の対シリア、対中東外交を促進するよう訴えていきます。

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