e国民全体で支え合う

  • 2013.10.03
  • 情勢/社会
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公明新聞:2013年10月3日(木)付



社会保障と消費税 石井政調会長に聞く
制度の持続へ安定財源
経済対策 賃金上昇につなげる



社会保障制度の安定財源確保を目的に、安倍晋三首相が1日、消費税率を来年4月から8%に引き上げることを表明しました。関連する経済対策を含め、公明党の見解や今後の対応について、石井啓一政務調査会長に聞きました。


低所得者対策 「簡素な給付措置」充実
中堅層への家計支援を検討


政府は消費税率8%を決めました。

石井政調会長 自民、民主、公明の3党で昨年から進めてきた「社会保障と税の一体改革」に基づく判断です。今後、少子高齢化が加速する中、社会保障の費用がさらに増えていきます。ほころびが目立つ現行制度を充実させ、なおかつ増え続けていく社会保障費を賄う財源として消費税の引き上げ分を充てることと取り決めていました。増税分は全て社会保障に使われます。

首相は、消費税率引き上げの前提条件である「経済状況の好転」を確認した上で判断しました。公明党も首相判断を了解しました。

「経済状況の好転」の根拠は。

石井 足元の経済を見ると、今年4~6月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で3.8%に改善。民主党政権時の昨年7~9月期はマイナス3.5%でしたから、自公政権に交代して確実に経済が好転しています。1日に公表された日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の景況感も、全規模・全産業の合計で5年9カ月ぶりにプラスに転じています。

さらに、消費増税に伴う景気の腰折れリスクを避けるため、5兆円規模の経済対策と1兆円規模の減税を実施。これにより、消費の一時的な落ち込みを緩和し、速やかに経済を回復軌道に戻すことができるという首相の判断を公明党も支持しました。

公明党は、消費増税の使い道となる社会保障について「一体改革」の議論の中で「全体像」を示すべきだと訴えていましたが。


石井 子ども・子育て支援と当面の年金改革については既に昨年の一体改革で法律が成立しています。また、「社会保障制度改革国民会議」が今年8月にまとめた「報告書」で、世代を超えて国民全体で支え合う、医療と介護を含む社会保障改革全般の方向性が示されました。

次の臨時国会冒頭に、社会保障制度改革の方向性と工程表をまとめたプログラム法案が提出されるので、全体像を示すことができると考えています。

5兆円規模の経済対策を行う理由は。


石井 消費税率の引き上げは、社会保障の恒久的な財源を確保するのが目的です。一方、5兆円規模の経済対策は、消費税率引き上げに伴う景気の変動をなるべく抑える一時的な支出です。毎年5兆円を支出するわけではありません。

経済対策のうち、低所得者対策としての「簡素な給付措置」は、市町村民税の非課税世帯2400万人に1万円を支給し、老齢基礎年金や児童扶養手当の受給者には5000円を加算します。消費税の3%導入時(1989年)と5%引き上げ時(97年)に実施した給付に比べ、対象者、総額ともに相当拡充した内容です。

経済対策の中身は。


石井 金額が大きい住宅取得には、消費増税の駆け込み需要とその反動減を抑えるため、住宅ローン減税の拡充に加え、「すまい給付金」を創設します。

さらに、中小企業への設備投資支援策や、20年に開催される東京五輪の交通・物流網整備、農業の6次産業化の推進をはじめ、高齢者や女性、若者向けの施策、復興、防災・安全対策の加速などを実施する予定です。

経済対策の具体的な内容は12月上旬に策定されます。公明党としては、中堅所得者、特に子育て世帯の家計支援をはじめ、12月までに経済対策の具体案を検討し、政府に提案していきます。

今回の政府の対応は「企業を優遇、家計に負担」との指摘もあります。


石井 日本経済を成長軌道に乗せ、企業の収益増がきちんと雇用の拡大や賃金の上昇に反映されることが最も重要です。消費税率の引き上げに伴う物価上昇よりも、賃金上昇が上回れば、増税に伴う痛みも吸収できます。

公明党は、企業収益を賃金の上昇に反映させるため、政労使協議を提案。9月20日に「経済の好循環実現に向けた政労使会議」が立ち上がりました。賃金を引き上げた企業への所得拡大促進税制の活用などと併せ、賃金上昇が確保される状況を実現していきます。

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