e子育て世代に経済支援を

  • 2013.09.28
  • 情勢/社会

公明新聞:2013年9月28日(土)付

企業は制度利用しやすい環境作れ

育児休業給付の充実

厚生労働省の労働政策審議会で、育児休業(育休)の期間中に支給される「育児休業給付金」の拡充に向けた議論が進んでいる。年末までに雇用保険制度の見直し案に盛り込む予定だ。

育休は仕事と育児の両立を進める上で重要な選択肢の一つとなっている。育休を取りやすい環境づくりへ活発な議論を期待したい。

育児休業給付は原則、1歳未満の子どもを養育するために育休を取得した人に対し、雇用保険から休業前賃金の50%が支給される。これまでにも給付率が引き上げられるたびに、受給者数は増加し、女性の職場復帰などに大きく貢献してきた。

ただ、一般的に子育て世代は所得が低い。賃金の半分が支給されても、休業中は家計が苦しい家庭は多いはずだ。このため、制度利用をためらう主因にもなっている。

8月にまとめられた政府の社会保障制度改革国民会議の報告書は「育児休業期間中の経済的支援の強化」を検討する必要性を強く求めている。安心して子育てができる社会を実現するために、育児休業給付の充実は欠かせない。

欧州諸国では、手厚い育児休業給付制度を設けている国が多い。ドイツでは手取り賃金の67%を支給している。スウェーデンは両親がともに休暇を取った場合、休業期間の390日までは給料の80%を両親に給付する。参考にしていくべきだ。

給付率の引き上げで、期待されるのが男性の育休取得率の向上だ。

2012年度の女性の育休取得率は83.6%だったが、男性の取得率は1.89%と極端に低い。男性が育休を取りやすくなれば、女性の子育ての負担も軽減される。女性の社会進出にもつながろう。こうした観点からも十分に検討を重ねていくことが大切だ。

課題は財源だ。育児休業給付は雇用保険料と国費で賄われている。

雇用保険料の負担とも絡むため、労使双方から十分な理解を得なければならない。国費の拡充を求める声も多い。

一方、育休の取得率を高めるには、さまざまな取り組みが必要になる。

例えば、会社や職場内で男性が育休を取得しにくい雰囲気があるため、利用をあきらめている人は少なくない。休業者の代替人員の確保や短時間勤務など、多様な働き方を選択できる環境づくりを進めなければならない。

社会全体として理解を深めるため、政府や自治体の周知啓発の強化も欠かせない。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ