e社会保障と財源 <下>

  • 2013.09.25
  • 情勢/解説
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公明新聞:2013年9月25日(水)付



消費増税分の使い道
法律で4分野に限定
年金 保険料 納付期間10年で受給資格
画期的な"子育て支援1兆円"



消費税の増税分の使途については、「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」と、改正消費税法に定められている。

2015年10月の消費税率10%への引き上げで増える税収は年13.5兆円と見込まれている。このうち、1%分に相当する2.7兆円を子育て支援など社会保障の充実に、残る4%分、10.8兆円は高齢化に伴う社会保障給付の自然増分に充てるなど、制度を安定的に維持するために使われる。

年金分野では、無年金者対策を拡充する。これまで年金保険料の納付期間が25年未満の人は年金がもらえなかったが、納付期間を10年に短縮する。受け取る年金額が少ない低年金者への支援策としては、保険料の納付実績に応じて最大で月5000円の「年金生活者支援給付金」を支給する。

一方、年金財政を安定させるために、基礎年金の国庫負担割合2分の1(約2.9兆円)の財源に消費増税分を充て恒久化する。さらに共済年金と厚生年金を一元化。厚生年金の加入基準を緩和し、パートなどの短時間労働者も加入できるようにする。このほか、産休中の厚生、共済年金の保険料の免除制度もスタートさせる。これら年金分野の改革は16年度までに順次実施される。

子育て分野では、消費税の増収分7000億円を含め新たに年間1兆円超の予算が投入される。子育て支援に、こうした恒久財源が確保されたことは画期的だ。具体的には、質の高い幼児期の学校教育と保育が受けられるよう、幼稚園と保育所の良さを併せ持つ施設「認定こども園」の普及を急ぐ。さらに認定こども園や保育所に加え、小規模保育(利用定員6人以上19人以下)、保育ママ(同5人以下)など多様な保育の"場"を整備。待機児童の解消をめざす。

一方、医療と介護の改革については、「国民会議」の議論を踏まえ、政府が8月に閣議決定した「プログラム法案」骨子の中で、その方向性が示された。

医療分野に関しては、1カ月の窓口負担に上限額を設ける高額療養費制度を拡充、国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移す―などの改革を14~17年度までに順次実施すると明記。難病対策も充実させる。

また、介護分野では、15年度をめどに、住み慣れた地域で医療、介護などのサービスを一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築に向けた基盤整備などに取り組むことを示した。

社会保障改革の道筋を定めたプログラム法案が成立すれば、厚生労働省の審議会などで改革の具体像が詰められ、関連法案が順次、国会に提出される。

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