e社会保障と財源 <上>

  • 2013.09.24
  • 情勢/解説
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公明新聞:2013年9月24日(火)付



未曽有の超高齢社会



消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げるかどうかについて、近く最終判断が下される。そもそも消費増税は、昨年8月の「社会保障と税の一体改革」関連法の成立で決まったものだ。そこで、あらためて一体改革の意義や消費税の使い道などについて、2回に分けて解説する。

25年に給付150兆円へ

年金、医療、介護 どう守る
子育て含め"全世代を支援"

日本は急速な少子高齢化の影響で、社会保障給付費が右肩上がりで増え続けている。2010年度には初めて100兆円を突破。今後の増大も避けられず、厚生労働省では団塊の世代が全て75歳以上となり、未曽有の超高齢社会を迎える25年には、150兆円に迫ると試算する。一方で、その支え手である現役世代は減少の一途をたどる。増え続ける社会保障給付費をどう賄っていくかは、待ったなしの重要課題だ。

社会保障制度を持続可能なものとしつつ、さらに強化するには安定的な財源を確保しなければならない。そこで消費税率を引き上げ、その増収分を年金、医療、介護、子育ての社会保障4分野の維持・強化に充てるのが「社会保障と税の一体改革」の目的だ。

社会保障給付費は主に、個人と事業主が払う「社会保険料」と、国・地方の「税」から成り立っている。しかし近年、保険料収入は横ばいで推移しており、増大する給付費と保険料収入の差額は拡大傾向にある。この差額は国と地方の税金で埋められてきた。

13年度の国の予算総額は約92兆6000億円で、このうち約43兆円は国債(借金)に頼っている。一方、12年度で約110兆円に及ぶ社会保障給付費も、国の負担分約30兆円の多くが借金で賄われている。

このことから、高齢者世代を主な給付対象としている今の社会保障制度は、将来世代にツケを回していると指摘されている。その上、現役世代が直面する人口減少や非正規雇用の増加など、社会経済構造の変化に伴う課題にも対応しなければならない。従来の高齢者中心の社会保障から、「全世代を切れ目なく支援する社会保障」への転換が急務だ。

昨年の社会保障と税の一体改革をめぐる議論では、民主、自民両党が消費税率10%への引き上げを視野に入れ、"先に増税ありき"で議論を進めかねない状況だった。公明党は両党との3党協議の中で、「社会保障改革を置き去りにした増税先行は許されない」と強く主張。社会保障の機能を維持・強化するという一体改革の本来の目的に沿い、めざすべき全体像を示すよう、両党と粘り強く協議を重ねた。

その結果、年金制度や現役世代の子育て支援を強化する一体改革関連法が成立。今年8月には政府の社会保障制度改革国民会議が、医療、介護分野も含む社会保障改革の全体像を報告書としてまとめた。

これを受け政府は、制度改革の道筋を定めた「プログラム法案」の骨子を閣議決定した。同法案は今秋に召集予定の臨時国会に提出される見通しだ。

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