e日中首脳が初接触 正式な会談実現に期待

  • 2013.09.12
  • 情勢/国際

公明新聞:2013年9月12日(木)付

 

経済、文化など互恵関係は揺るがず

 

尖閣諸島の国有化から1年が過ぎた。周辺では中国の公船が日本領海への侵入を繰り返しているが、安倍首相は先週ロシアで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の場で、中国の習近平国家主席と就任後初めて、言葉を交わした。

今年1月には、公明党の山口代表と習総書記との対談が行われるなど、「(日中間の)間合いが狭まってきている」(菅官房長官)ことを感じさせる初の接触だったといえよう。

対話の中で首相は、「戦略的互恵関係の原点に立ち戻り、日中関係を発展させていくべきだ」という基本姿勢を表明し、習主席は「中日関係は厳しい困難に直面しているが、われわれとして見たくないものだ」と述べたという。

来月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議など、今後の国際会議の場で、両首脳が接触する機会は多い。正式な首脳会談実現へ機運が高まることを期待したい。

日中関係は、ともすれば、政治レベルでの緊張や対立が大きく報道されるが、経済や文化・学術分野では互恵関係は定着している。

貿易額を見ると、日本にとって中国は輸出入とも第1位の最大の貿易相手である。また、中国にとって、日本は米国に次ぐ2番目の貿易相手国であり、第1位の投資国である。昨年、海外から中国への投資が冷え込むなかで、日本からの投資は16.3%増となっている。両国経済は強い相互依存の関係にある。

文化・学術面では、日本が受け入れている留学生(約14万人)の出身国を見ると中国が6割以上を占めている。

料理や音楽、アニメなど日本文化への人気は根強く、政治で対立しても、文化・学術レベルでの交流は決して弱まってはいない。

これほど緊密な日中関係だが、日本国内では、アジア回帰の姿勢を強める米国を頼りに、「日米同盟対中国」という図式を強調するものもある。

だが、米中両国の利害が常に対立しているわけではない。中国にとって米国は最大の輸出市場であり、米国債の海外保有先内訳では中国が日本を上回り第1位である。

米中間では、今後も対立と協調が続いていくはずだ。わが国は米国との関係強化と同時に、中国との関係改善を粘り強く進める必要がある。

日中両国関係の改善は、アジアの安定的な発展に不可欠であり、責任も大きい。さまざまな分野で着実に交流を進め本格的な政治対話の環境づくりを進めていきたい。

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