e災害時の洋上拠点に

  • 2013.09.02
  • 情勢/社会
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公明新聞:2013年9月2日(月)付

 

公明の主張で実現
病院船導入へ実証訓練
横山氏が視察医療コンテナ活用など検証



三重・ 尾鷲港沖

政府は8月31日、南海トラフ巨大地震に備えた広域医療搬送訓練の一環で、大規模災害時の医療拠点としての役割が期待される災害時多目的船(病院船)の導入に向けた実証訓練を三重県尾鷲港沖で初めて実施した。これには病院船建造を推進する超党派議員連盟(衛藤征士郎会長=自民党)が視察に訪れ、公明党から横山信一参院議員が参加した。この実証訓練は、公明党が主張して実現したもの。

病院船は、医療機能と被災者輸送などの機能を備えた自己完結型の総合拠点。米国やロシアなどが保有しており、スマトラ島沖地震などの際も活用された。日本でも、従来は陸路が中心だった災害時の患者の搬送経路を海路にも広げることで、災害医療機能の向上が期待されている。

この日は南海トラフの巨大地震によって、愛知、三重、和歌山の3県に甚大な被害が発生したことを想定し、広域医療搬送に関する総合的な実働訓練を実施。洋上医療拠点として、コンテナ式の医療モジュール(陸上自衛隊野外手術システム)を搭載した海上自衛隊輸送艦「しもきた」を三重県尾鷲港沖に停泊させ、陸上自衛隊の衛生隊と広島県の災害派遣医療チーム(DMAT)などがチームを組んで、同医療拠点への患者搬送や応急処置、安定化訓練を行った。模擬患者として、重軽傷者や慢性疾患患者など複数の症例を想定。医療モジュールの活用可能性や陸上の医療機関との役割分担、船内の医療関係者の指揮命令系統の在り方などを検証した。

横山氏は、着艦したドクターヘリから患者が搬送される様子や医療モジュール内の手術行為など一連の訓練風景を視察した。視察後、横山氏は「医療モジュールという発想を公明党が持ち出したことによって、既存船が病院船に代わり得るということが証明できた。このことが一番大きな成果だ」と強調した。

1995年の阪神・淡路大震災を教訓にして、海上保安庁と海上自衛隊は、手術台や病床などの機能を持った船を複数隻保有していた。だが、民主党政権下で発生した東日本大震災では、縦割り行政が壁となり、これらの船は物資輸送で使われただけだった。このため、公明党は災害時に命を守る有効な手法として「病院船」の整備を他党に先駆けて訴えてきた。

海路からの医療支援を検証する事業については、今年3月22日に党災害時多目的船検討プロジェクトチームが政府に要請。5月13日の参院予算委員会でも横山氏が主張していた。

一方、政府は2012年度の病院船に係る調査結果において、民間船舶などの既存船舶を活用した実証訓練を行うことも有効な方策の一つと指摘。14年度予算概算要求には、民間船舶を活用した医療機能の実証訓練の予算が計上されている。訓練後、内閣府の西村康稔副大臣は記者団に対して「今回の成果を次のステップに生かしたい」と語っていた。

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