e「がん教育」の充実へ

  • 2013.07.30
  • 情勢/社会
[画像]メインイメージ

公明新聞:2013年7月30日(火)付

 

文科省の検討委が初会

"命の大切さ"学ぶ機会に
医師、教員、経験者らが議論 正しい理解を促す


文部科学省が公益財団法人・日本学校保健会に設置した「がんの教育に関する検討委員会」(植田誠治委員長=聖心女子大学教授)が26日、文科省内で初会合を開いた。

同委員会は、医師や学校関係者、がん経験者など9人で構成。2012~16年度を対象とした国のがん対策推進基本計画で、国民の2人に1人がかかるがんについて、子どものころからの教育の重要性が指摘されていることから、がん教育の在り方を検討するために設置された。

基本計画では、がん教育について「(子どもたちが)健康と命の大切さを学び、自らの健康を適切に管理し、がんに対する正しい知識とがん患者に対する正しい認識を持つよう教育すること」を目標に掲げている。

しかし、現在の教育現場では、がんは保健体育の授業で生活習慣病予防や喫煙・飲酒の害を学ぶ際に、心臓病など他の病気と合わせて紹介される程度。授業時間も小・中学校、高校で、それぞれ1時間ほどしか確保されていない場合が多い。

26日の会合では、委員らがこうした現状を確認し、がん教育の授業内容や指導体制などのめざすべき方向性を議論。委員のうち、東京大学医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授は、自ら中学生を対象に、がんへの理解を通じて命の大切さを考えてもらう教育プログラムを全国各地で実践していることに触れ、がん教育は「生死について考えるチャンスになる」と強調した。

他の委員からは「病気の人と一緒に社会で生きていくことへの理解にもつながる」などの意見が上がった。

同委員会は年間5、6回ほど開かれる見通し。今後、文科省は同委員会での検討内容を踏まえ、14年度からモデル事業の実施や、教育用教材の作成・配布、専門医の講師派遣などを行う予定だ。

公明党はこれまで、党がん対策推進本部(本部長=松あきら副代表)らが5月24日、がん教育の具体策を検討するための検討会設置を下村博文文科相に要望するなど、がん教育の展開を積極的に推進してきた。

偏見の解消めざす

委員の声
NPO法人・周南いのちを考える会 前川育 代表

私は、息子をがんで亡くし、自分自身もがんに3度かかった経験を子どもたちに語る活動を行ってきました。

現在の教科書では、がんは主に生活習慣病の中で取り上げられていることから、それが「生活習慣が悪いから、がんになった」との誤解や偏見に結び付いてしまう恐れがあります。そのためにも、がん教育によって、がんを正しく理解してもらうことが重要です。

また、がん教育の実施に当たっては、保健体育の授業の枠にとらわれず、学校全体の取り組みとなることを期待しています。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ