e日本の潜在力を引き出せ

  • 2013.07.24
  • 情勢/経済

公明新聞:2013年7月24日(水)付



ものづくり技術を生かす視点で
成長戦略の早期実行

 

参院選の結果、日本経済を本格的に回復させるための政治の舞台が整った。

デフレ脱却や規制緩和、財政再建など課題は多い。連立政権にとって、これからが日本経済を自律的な成長軌道に乗せるための正念場だ。成長戦略で、日本経済の潜在能力を最大限に引き出すことが重要である。

安倍首相は参院選後の記者会見で「成長戦略の実行なくして成長なし」と秋の臨時国会への強い決意を語った。首相は成長戦略に盛り込まれた各分野の政策を実行する時期の明確化と、前倒し実施を既に指示している。今後は、来年度予算の概算要求や税制改正、法整備によって成長戦略の中身を具体化させる。関連法案として臨時国会に提出予定の「産業競争力強化法案」(仮称)には、経済界の要望が強い投資減税を盛り込む方針だ。

少子高齢化で国内市場は縮小し、グローバル競争も激しさを増す。日本企業にとって経営体力の消耗が著しい海外での低価格競争ではなく、製品の質で勝負できるように支援すべきだ。鍵を握るのは「ものづくり技術」と人材の有効活用だ。公明党が太陽光など再生可能エネルギーの活用や医療産業などの重点支援を進めるのは、成長分野であることに加え、日本の技術力の高さが世界で優位に立っているからだ。

中小零細企業が持つ優れた技術力を基礎に、研究機関の開発能力や大企業の事業戦略を組み合わせることが必要だ。これによって海外の低価格製品ではまねできない、高い付加価値のある製品を生み出すことができる。自動車を中心とする日本の輸出産業は、この方法を生かして世界市場での足場を固めてきた。

地方経済の担い手でもある中小零細企業が活気づけば、地方に景気回復の恩恵をもたらす。子育てを終えた女性の再就職支援や、若者の正規雇用への積極登用など時代に合った就労環境の整備で、人材不足を補うこともできる。

世界経済のけん引役である中国は、4~6月期の実質国内総生産(GDP)の伸び率が前年同期比7.5%と、2四半期連続で伸びが鈍い。成長戦略の実行は低迷する世界経済を下支えする役割も果たす。米国からも「期待を持って注視したい」(ラッセル米国務次官補)と日本の成長戦略の早期実行を求める声が出ている。

今こそ成長戦略で内需拡大を促し、"実感できる景気回復"を実現する千載一遇のチャンスである。

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