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f「大阪北部地震」丸2年 "倒壊"教訓に進む対策

  • 2020.06.18
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※浜田市長(中央)に避難所対策を要望する高槻市議会公明党

 最大震度6弱の揺れが大阪府北部地域を襲った「大阪北部地震」から、きょう18日で丸2年を迎えた。同地震では、一部損壊以上の家屋が5万棟を超える一方、犠牲者6人のうち、2人はブロック塀の崩落に巻き込まれ命を落とした。こうしたことから、震源域を含め全国各地でブロック塀の安全対策が加速。片や、新型コロナ禍での災害に備えた避難所対応も急ピッチで進む。震度6弱の揺れで崩れたブロック塀の下敷きになり女児が亡くなった大阪府高槻市から報告する。


■全小中学校 ブロック塀(80センチ以上)撤去、98%に

 「当事者意識で災害を見つめ、街自体も変わりつつある」。こう語るのは、高槻市立寿栄小学校の近くに住む鈴木留之助さん(78)だ。当時、地元の寿栄川添自治協議会議長を務めていた鈴木さんは、発災当日を記した日記を開いていた。

 2018年6月18日午前7時58分。通学路に面する小学校のプール脇の高さ約3・5㍍のブロック塀が倒壊、登校中の女児(小4)が下敷きとなり犠牲に。1・2㍍を超える場合に必要な補強用の「控え壁」がないなど、ブロック塀には耐震性に問題があった。

 同小学校での事故を教訓に、市は18年度、優先順位を設けて、500超の全公共施設のブロック塀を11年間で撤去する計画を決定。"撤去"としたのは「内部構造の安全性までを確認することは難しい」(市事故調査委員会)との答申を踏まえたものだ。

 既にこの2年で、全市立小中学校の80㌢以上のブロック塀のうち、98・2%の撤去が完了。今年度中には100%を達成する見込みだ。加えて市は、道路や公園などに面する80㌢以上の民間ブロック塀の撤去に対する費用補助制度も創設。申請件数は現在、344件に上っているという。


 女児が亡くなった寿栄小学校では、ブロック塀に代わり、フェンスと芝生が敷設され、通学路も変更。事故や災害から子どもを守る環境整備を継続的に行う学校を認証する「セーフティプロモーションスクール」の取得に向けた取り組みも続けている(高槻市教育委員会学校安全課)。

 ブロック塀の安全対策を巡っては、公明党が18年度の国の補正予算に撤去・改修を行う自治体への支援を盛り込ませる一方、各自治体でも改善のための補助制度を拡充させてきた経緯がある。



■20政令市 「4割で危険除去未了」との調査も
 今月13日、共同通信が発表した調査結果によると、20政令市の全市立小中高校のうち、4割で敷地内のブロック塀対策が未完了という。構造基準が厳格化された1981年以前に設置された塀の多くは耐震基準を満たしておらず、地震などで倒壊する危険性も高い。次なる一手が必要だ。


■新型コロナ禍での避難所対応急ピッチ
 一方、高槻市では拠点となる避難所でタブレット端末を使い、障がい者や外国人への対応などに関し、災害対策本部との情報共有を円滑にさせていく方針だ。
 こうした中、本格的な台風の時期を前に、大阪府は3日、避難所での新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐマニュアルを策定。自宅療養者や濃厚接触者の避難スペースの確保をはじめ、ホテルや学校の空き教室などの活用による避難所の「3密」対策の徹底も進めている。
 これを踏まえ市議会公明党(宮田俊治幹事長)は浜田剛史市長に会い、①避難所崩壊の回避へ全庁体制での感染防止対策②市避難所運営マニュアルの見直しと周知啓発③さらなる避難スペースの確保――などを要請。市は今月中をめどに、マニュアルを示す方針だ。
 大阪北部地震では最大で107カ所の避難所が開設され、613人が避難した高槻市。避難所における新たな課題の克服へ、関係者の奮闘が続いている。

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