t就労支援の豊中モデルについて

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2017年 6月 21日



質問)

就労支援の豊中モデルについてお尋ねします。就労支援は、地域就労支援センターにおいて求職者の状況をよく把握し、無料職業紹介所において事業の内容や経営者のこともよく分かったうえで、ていねいにマッチングしていくことが基本です。そんな中で、就労困難になる大きな4つの課題に対し、世の中にないサービスを工夫してつくることに挑戦したことが、就労支援の豊中モデルといわれるようになっています。4つの課題とは、ひとり親・シングルマザーの支援、ひきこもり当事者等の若者支援、高齢者の支援、そして障害のある方の支援です。
はじめに、シングルマザーの就労支援についてお尋ねします。国においては、看護師や保育士の資格を取ることを助成する制度があります。豊中モデルの特徴は、資格を取ることだけに専念できない、子育てをしながら生活費を稼がなければならないというシングルマザーの実態をとらえ、飲食店で働きながら、調理士の資格を取って、正規社員として就職する、または将来的に飲食店を経営したいという希望を持つシングルマザーをも支援するというものです。この就労支援については、着実な成果が出ていると思います。まず、昨年度の実績を中心に取り組みの成果をお聞かせください。また、毎年同じ事業者が委託を受けているという意見もありますが、この就労支援については、相当のノウハウが必要で、なかなか他の事業者ではまねができないという側面が強いと思います。その点、お考えをお聞かせください。一方、事業の内容については、その成果を踏まえて、整理整頓する必要もあるのでは?とも思います。その点についても、お考えをお聞かせください。

答弁)

平成28年度の取組みにつきましては、公募型プロポーザル方式により事業者を募集し実施したものであり、飲食店での現場体験を積みながら、調理師免許等の資格取得支援を行うなどの就労支援を実施し、この事業に参加した7名全員がその実績を生かし就職されました。
ひとり親家庭の母親に対する就労支援におきましては、資格取得に向けた学習支援に関する知見だけではなく、参加者の相談を聞きながら、資格取得等の新たな挑戦に対する意欲を持続させるとともに、参加者同士が互いに励ましあう環境作りなど、相談や支援にかかる知識や経験が重要であり、こうしたノウハウを兼ね備えている事業者は、非常に貴重な存在であると考えています。
今後、これまでのひとり親家庭の母親に対する就労支援において効果の高かった取組みについての検証を行いながら、生活困窮者自立支援制度や地方創生推進交付金等を活用した事業として、他のひとり親支援制度の連携・活用等も含めて、総合的に検討してまいりたいと考えています。

質問)

ひきこもり当事者等の若者支援については、職業的自立を目指して、ステップアップしていくために、中間就労が必要であるということでした。特に、豊中モデルにおいては、実際に働いている工場や商品を扱っている現場で中間就労を作る、ということにこだわり、この中間就労をつくることが大きな課題でした。そんな折に、産業振興で経営の立て直しに取り組んでいたカバンの事業者が、工房の作業手順の中から仕事を切り取り、それを中間就労として挑戦してみようということとなり支援が動き始めました。この事業者が支援を熱心に取り組んだおかげで、若者支援の中間就労の形ができ、豊中モデルといわれるようになったと理解しています。そこでお尋ねします。昨年度の若者の就労支援の成果をお聞かせください。定量的な成果だけでなく、事例をあげて数字では見えない成果についてもお聞かせください。また、このような若者やシングルマザーの就労支援については、今後とも継続をしていただきたいと思いますが、財源が不安定なことが気になります。若者相談窓口や若者サポートステーションなど、若者支援の入り口部分の支援もあわせ、財源を安定させるためにどういう取り組みを考えているのでしょうか、お聞かせください。あわせて、企業の研修センターを活用した若者の就労支援に取り組んだと聞いています。その内容と状況をお聞かせください。

答弁)

平成28年度における若者の中間的就労に関する取り組みにつきましては、主には「ものづくり等体験事業」として生活困窮者自立支援制度における就労準備支援事業を活用し、かばんの製造事業者に業務を委託しており、のべ114人/日の受入れにご協力頂きました。かばんの製造工程のなかで様々な作業を経験しながら、参加者それぞれの特性や就労に向けた課題の顕在化を図り、次の段階の支援へとつないでおります。
こうした若者をはじめとした就労支援につきましては、厚生労働省の事業である若者サポートステーションの受託事業者とも日常的な連携を図りながら、生活困窮者自立支援制度や地方創生推進交付金等利用可能な様々な仕組みや財源を活用し、相談支援や就労支援、雇用創出等の取り組みを総合的に進めるとともに、国や大阪府に対しましても必要な財源の確保について働きかけを行ってまいりたいと考えています。
最後に、企業の研修センターを活用した取組みにつきましては、地方創生加速化交付金を活用し実施した事業であり、就業経験が少ない若者等を対象に食品加工職人の育成をめざしたものです。スーパーマーケット等における食品加工現場での実践的な訓練や指導を行うために企業のトレーニングセンターにご協力頂いたもので、就業経験の少ない若者や障害のある若者8名が参加し、うち4名がスーパーマーケットでの就業につながりました。

質問)

高齢者の就労支援については、シルバー人材センターと連携しながら、シニアワークセンターとよなかの取り組みを助成してきました。当初は、65歳以上を想定し、就労で社会的活躍の場を作ることと、年金にプラスして生活も安定するための賃金が出る仕事を作り出すことを目指していたと理解しています。結果は、高齢者の方が就労して元気になるということは間違いないことは確信できましたが、賃金が稼げる就労を作り出すことはかなり難しいと感じています。このことを踏まえ、高齢者の就労支援については、今まで行ってきた事業を整理整頓する必要があるのでは?と思います。いま、生涯現役促進地域連携事業で、市とシルバー人材センター、社会福祉協議会、シニアワークセンターとよなかで検討を行っていると思います。そこでお尋ねします。今年度から始まった、介護予防、生活支援サービスの中で、地域において、事業を通じて支え合いのネットワークを作っていこうとの取り組みがあります。いわゆる社会福祉協議会に委託された生活支援体制整備事業でも、高齢者が活躍できるいきがい就労の取り組みができるのではないでしょうか。健康福祉部と連携して、お考えをお聞かせください。また、賃金が稼げる就労については、企業との公民連携を軸とした就労支援に取り組まなければいけないのではないでしょうか。たとえば、私たちの会派が提案していたレジ訓練等の研修の後、小売事業者に職業紹介する事業に取り組んでいただいていると聞いていますが、その内容と今後の取り組みの方向性についてお聞かせください。

答弁)

高齢者の就労支援につきましては、生涯現役促進地域連携事業におきまして、健康福祉部等の関係部局や社会福祉協議会、介護保険事業者連絡会等とも連携を図り、一般企業への就労だけではなく、地域課題の解消に向けた取組等において高齢者が活躍できる機会の提供について検討しております。

また、企業との連携につきましては、高齢者の活用に関心のある事業者と連携することで、就業機会の提供に取り組んでおり、ご質問にありましたように既にコンビニエンスストアと連携し、仕事内容の説明だけではなく、レジ体験等を実施し、高齢者の求人応募につなげております。今後は、スーパーマーケットにおける見学会や簡単な仕事体験ができる機会のほか、飲食店をテーマにした講座等の実施を予定しております。

質問)

課題別の就労支援について確認してきましたが、豊中市の就労支援の基本は冒頭に申し上げた通りに、地域就労支援センターと無料職業紹介の両輪が基本です。そのことを踏まえた上で、今後、就労支援は、事業者に紹介する前に一定の仕事の体験を積ませることが大切になってくるのではないでしょうか。そうした方が、求職者の不安も削減されると思いますし、求人側の事業者にとっても、退職することが抑制され、メリットがあるのではないでしょうか。以前、私たちの会派の質問に対する答弁で、(仮称)南部コラボセンターの機能として、キャリアセンターを構想しているとのことでした。これは、求職者を就労相談窓口から直接的に就労現場に結び付けるのではなく、課題の大きい人には、中間的な受け入れ場所を作り、一定の職業訓練を行った後、ていないなマッチングを行うようなイメージがあります。キャリアセンターの内容ついて、お考えをお聞かせください。あわせて、介護保険で行う基準緩和型サービスにおける研修とも連係できる可能性があると思います。その点、健康福祉部と連携してお考えをお聞かせください。

答弁)

就労への大きな課題がある求職者の中間的な訓練につきましては、現在、民間企業等のご協力を頂きながら、実際の仕事現場において、実践的な指導や助言をいただきながら実施しております。
今後はこれまでの取組みに加え、企業側が求める人材に対応し、就職に必要なスキルを一元的に修得できる仕組みが必要であることから、(仮称)南部コラボセンター基本構想においてキャリアセンター機能を定めており、この中で地域の事業者の協力も得ながら具体的に検討してまいりたいと考えております。
また、介護保険総合事業の生活支援サービスとの連携つきましては、多様なサービスの創出、従事者の育成を行うため、研修参加者の募集や受講後の求人情報の提供等具体的な連携内容について、現在、担当部局と調整しているところでございます。

質問)

就労支援の豊中モデルといっても、これに携わる職員のスキルが最も大事です。昨年度からは、生活困窮者自立支援法が施行されたこともあり、相談者の主訴を理解し、多方面にわたる知識や経験が必要とされています。また、豊中モデルといわれるほどの就労支援になっていますので、当然数年前と比較し、求められるところも高いところにあるのではと推察されます。そこでお尋ねします。就労支援に携わる職員の業務についてその内容を詳しくお聞かせください。

答弁)

本市の就労支援は、ハローワーク等の一般労働市場では就職が困難な方などが対象でしたが、平成27年の生活困窮者自立支援法の施行に伴い、これまで以上に病気、障害、住居不安定、多重債務、税や保険料等の滞納、ひきこも りなど多様な課題を抱える相談者が増加しております。
そのため、職員は相談者の状況を的確に把握し、相談者の気持ちに寄り添いながら、多様な課題を整理し、福祉事務所や保健所等の関係部局だけではなく、医療機関や障害者の支援機関等外部の機関とも連携を図りながら相談者が求職活動や、生活においてよりよい選択ができるよう支援しております。

意見要望)

豊中市の就労支援は、全国が注目する大変重要な仕事だと思います。是非とも、携わる職員のスキルに見合った処遇となるように常に改善を検討し、人材を大切にしていただきたい。キャリアセンターについては、(仮称)南部コラボセンターの施設内では、スペース的な制約があり、事務的な機能の導入だけになると思います。職業訓練ということを想定するならば、市有施設の有効活用検討の中で、以前から提案している、ものづくりのチャレンジセンターとあわせて作ることを前向きに検討していただきたい。「はたらきたいのにはたらきにくいすべての人」を対象としたユニバーサル就労の支援拠点を作っていただきたいと強く要望します。

平成29年6月定例会 本会議質疑より

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