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t日本版NIH 医療・研究開発の司令塔に 公明新聞:2013年9月23日(月)付

産業競争力の強化促す環境整備を

米国立衛生研究所(NIH)をモデルにした「日本版NIH」の設立構想が動き出した。

政府は、先端的な医療・研究分野の司令塔を創設することで、基礎研究から臨床応用までの研究開発予算を一元的に管理し、一括で配分する構想を立てている。

これまで厚生労働省をはじめ、文部科学、経済産業などの各省でバラバラだった予算の分散をなくし、医療産業の競争力強化に取り組むことが狙いだ。

米国立衛生研究所は1887年に設立された米国の医学研究の拠点機関。年間3兆円に達する予算権限と、がんや心疾患などテーマごとに国立の研究所を持ち、生命科学の幅広い分野に対する支援を行っている。

残念ながら、日本にはこうした仕組みがない。このため、基礎研究と実用部門の間に大きなギャップを生んでいる。iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究の成果を発表した山中伸弥・京都大学教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したように、基礎研究の分野で日本は世界をリードしている。

ところが、創薬や医療機器の安全性・有効性を調べる臨床応用には十分に生かされていない。

各省に分散する研究開発を集約して効率よく進める環境をつくり、研究成果を早期の新薬開発や医療機器の実用化につなげるためにも日本版NIH構想の実現が不可欠だ。

日本版NIHは、8月に内閣に設置された「健康・医療戦略推進本部」(本部長・安倍晋三首相)と、新たに設立される独立行政法人「日本医療研究開発機構」(仮称)が、医療の司令塔としての役割を担う。

がんや再生医療など研究開発の今後の戦略は推進本部が決定する。一方で、同機構がその方針に沿って、研究費を大学や研究機関に配分する権限を持つ仕組みが考えられている。

推進本部は、2014年度予算の概算要求に厚労、文科、経産3省の医療分野の研究開発予算として2260億円を盛り込んだ。本部が一元管理するためである。

ただ、司令塔実現には課題もある。予算要求は各省が行うため、推進本部が各省との調整に強いリーダーシップを発揮できる体制づくりを進めなければならない。

日本版NIH実現に対する期待は大きい。各省の縦割りを排し、基礎研究から実用化までの支援につなげ、医療産業の成長の底上げを進めるべきだ。

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